自然栽培の存在を知る 美味しいお米の育て方#002
はじめに
美味しい米が食べたい!美味しいお米を栽培したい。お客さんに喜んでもらいたい!
そんな想いに応える美味しいお米の栽培方法からバックグラウンドまで、自然栽培流通・生産歴13年の山田憲吾の経験をもとに紹介していく自然栽培稲作チュートリアルシリーズです。
自然栽培稲作講座で受講生の皆さんに配布している「美味しいお米の育て方」をnoteバージョンにして連載していきます。
回によっては無料記事と有料記事のブロックに別れます。
自然栽培米に出会ってから
前回は僕が自然栽培米に出会って自分でも予測不可能な行動
おかわり
をしたというお話しをしました。
このお米嫌いな僕が、なんとさほどお腹も空いてないのにおかわりなんて、あり得ない。
ただ、その驚きはジワジワボディブローのように効いてきました。
なんなんだろう、あのスルリと優しい透明感は?
かと言って満足度が低いわけじゃない。
軽くてほんのり甘くてみずみずしくたくさん食べてしまう。
素晴らしいものや本物というのは何でもすぐには理解できないことが多い気がします。
なぜならそれを評価する物差しが備わってないからですね。
僕も例外なく、お米の美味しさを評価する基準を持ち合わせていませんでした。
無農薬だから無肥料だから悪くない。
みたいな本当に表層的な部分でしか考えていなかったのかもしれません。
まさかこれほどまでにジワジワくるとは。。
自然栽培、こりゃなんかおもしろい世界かもしれないぞ。
流通の現実と自然栽培の謎
その頃、自分の販売事業では有機栽培のお米を中心に取り扱っていました。かなりの量の畜産糞系の肥料を使用した有機栽培のお米でした。
有機認証も取られていました。
しかし実際、自然栽培のお米を食べてから有機栽培のお米を食べなくなっていました。
身体がそう求めたのかもしれません。
ただ流通や販売となると、生産量が必要でしたから自然栽培のお米を販売することはできませんでした。
当時は福島県内で自然栽培のお米を栽培していた生産者はほとんどいませんでした。
僕が知る限りほんの数名でした。
自然栽培がどんなものなのかも知る人も説明できる人もいなかった。
もう本当に地道なリサーチ。ネットにもほとんど情報がない。
手探りで調べたり人に聞いたりしながら、段々とその存在が確かにあることを認識しはじめました。
自然栽培という栽培方法はあるにはあるがまだまだ未知なもの。
そして、どうやら僕と同じような食体験をしてる人もいるらしい。
そんなふうに自然栽培の輪郭がハッキリしはじめリアリティが増していったのです。
あの質感のあるお米の世界をもっと感覚的に実感したい。知りたい。
舞い込んだ招待状
そんなことを考えていたら、自然栽培のお米を食べさせてくれた農家さんの奥様が僕に連絡をくれました。
「自然栽培の現場で勉強会があるから行ってみたら?」
参加料は確か2万円越え。交通費滞在費は自腹なので5万円ほど。ぽっと出の八百屋にはなかなかの出費でした。
その勉強会に行くか、すぐに返事はしませんでしたが、いろいろ考えた結果、事業の傍ら自力で調査していても仕方がないと思い
後日、勉強会に申し込んだのでした。
その勉強会により、ますます自然栽培沼にハマっていくとは、この時は知る由もありませんでした。
続く