美味しいお米とはなんだ?美味しいお米の育て方#001
はじめに
美味しい米が食べたい!美味しいお米を栽培したい。お客さんに喜んでもらいたい!
そんな想いに応える美味しいお米の栽培方法からバックグラウンドまで、自然栽培流通・生産歴13年の山田憲吾の経験をもとに紹介していく自然栽培稲作チュートリアルシリーズです。
自然栽培稲作講座で受講生の皆さんに配布している「美味しいお米の育て方」をnoteバージョンにして連載していきます。
回によっては無料記事と有料記事のブロックに別れます。
自然栽培をはじめる前に
みなさんは美味しいお米食べてますか?
あなたにとって美味しいお米とはどんな感じがするモノでしょうか?
柔らかめ?硬め?
モチモチ?あっさり?
みずみずしい?パラパラ?
甘い?無味?
地域の気候や食べ慣れている味か、お客さんウケを考えていたりといろんな基準があるかと思います。
共通して言えることは
不味くないこと。
僕は1年に10種類以上のお米を栽培したり、また古い古い品種のお米を栽培したことで日本のお米のバリエーションの多さに大変感動しました。
そのどれもがしっかり個性があり、また、現代の品種と比較すると、もち感のある食感のものもありますが、多くはすっきりした印象がありました。
自然栽培で栽培するとお米の個性がよくわかります。
それは肥料など直接効果のある要素が味に影響することが少ないことが考えられます。
皆さんは炊き上がりのお米の匂いが気になったことはありませんか?
僕はたくさんのお米を食べてきたことで、完璧にではないですが、その匂いでどんな肥料をやり、どんな環境で育っているのかを推測することができます。
例を挙げると、単純に糞などの動物性有機肥料で栽培すると、炊き上がりの匂いに出ます。
さらに窒素分などの影響からかもちもち感がぐんと上がります。
最初に食べた瞬間に「甘い!」というかなり強いインパクトをもたらします。
しかし
ふた口目を食べます。美味しいけど重い。
さん口目。なんだかお腹がいっぱいな気がする。
こんな雰囲気を感じたことはありませんか?
僕は子供の頃、お米が大嫌いでした。
「重くてこんなにたくさん食べられないよ。」
こんな印象を持っていました。
そしていつも残すと怒られるので、お味噌汁をかけてネコマンマにして掻き込んでいました。
それは食事というよりも辛い毎日の苦行。処理に近いものでした。給食もそうでした。
お米はよっぽどお腹が空いていなければしっかり食べるなんてことができない代物でした。
それがくつがえっていったのは、自然栽培のお米に出会ってからなので20代後半でした。
東日本の震災の前の2009年頃、僕は福島県の郡山市で食材店を経営していました。
その頃に、実験的に自然栽培でお米を栽培し始めた農家さんの奥様が隣町にいらっしゃいました。約20アールほど、テニスコート2枚分くらいでした。
当時は自然栽培という言葉もほとんど誰も知らず、興味もないし何だかわからないという時代でしたが、センスの鋭い彼女はいち早くチャレンジしていました。
秋にその農家さん宅に呼ばれて、その年収穫したお米を初めて食べさせていただきました。
そのときに感じたことは
軽い。
みずみずしい。
ほんのり甘い。
変な味や匂いがしない。
あっさりしている。
そんな印象でした。
さらにお米嫌いの僕が信じられないですが、お米を2度おかわりしていました。
インパクトがすごくあったわけではないんです。
スルスル食べることができていました。
そのときは何ともない感じだったのですが後々考えてみると
何なんだろうあの透明感は?
というような感覚が体の奥深く残ったように思います。
僕の美味しいお米の旅はここから始まったといっても過言ではありません。
続く
映像制作をはじめとした活動費に使わせていただきます。ありがとうございます!