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自然栽培4つの段取り② 美味しいお米の育てかた#026

2nd Stage「土質、作土の調査」


実際に圃場の土質を調査してみます。

まずはいくつかの地点を掘って確認します。


植物が根を張れる作土の深さがどのくらいで、

どのような土層になっているかなどを確認していきます。


掘った土は順番通りに戻していく。


平成期に構造改善を行った田んぼは大体20〜30cmで掘って硬盤がある。土の色の変化や途中の層、根、虫、匂いなど見て嗅いで感じてざっくりと把握する。

粘土、砂、黒ぼく、山土など様々な土質があり

水持ちや水はけの具合や適応している植物を検討していきます。

粘土系は残肥が残りやすく

土壌の変化には長期間を要する傾向があります。

一方で砂系は肥料分の解消が早い反面

腐植も減りやすい傾向があり

こういった土質による特質は一長一短それぞれあると言えます。



またその時に、土の匂いや虫の多さや種類などもチェックします。

過去に肥料分が多いところや

湿度が高く乾きにくい圃場は

そのような環境に適した菌やその他の生物が生息しており

独特の嫌みのある匂いがしてきます。



一方、乾きやすく肥料っ気のない土壌は

さほど気になる匂いもなく虫も少ない傾向があります。

厩肥や化成肥料を使用していた場合

この時のにおいが顕著にきついケースが多く

土壌の性質が変化するには5年~10年のスパンで捉え

じっくり取り組む段取りのほうが現実的です。


地温調査と残肥層という従来の認識

これまで、この作土層の温度を測ったりする試みもありました。

残存肥料で温度が滞る個所を捉えようという試みであり

その場合は地表からだんだんと温度が下がり

ある所から一定になるような状態が

滞りもなく肥料っ気のない状態と言われてきました。


これを生産者間では肥料溜まりや残肥層と呼んでいました。


しかし、そのような調査を重ねていくうちに日夜変化する土壌の性質上

必ずしも温度によって測れるものではないことや

残肥が層になっているケースとそうでないケースもあることから

地温の調査による残肥や団粒構造の有無は

必ずしもすべての圃場に適応できるものではないと考えています。


また、PHの値やさまざまな土壌分析もある程度は参考になりますので

機会があれば分析に出すのも損はないと思います。

いろんな角度から圃場を観察することが大切です。



気持ち良い土は美味しさを育む


自然栽培の畑の場合ですが

実施年数の長い場所の様子は


①土が柔らかく

②温かく

③保湿感がある

④水もちが良い

⑤水はけが良い


雰囲気的には赤ちゃんの肌のようだと表現する人もいます。

これはあくまで畑の話なので

田んぼの場合とイコールではありませんが

田んぼの場合でも土質によって異なりますが

柔らかくホロホロとなってきます。

畑に関しては感覚的に土そのものが気持ちいい感覚がします。

土そのものが美味しそうな感じがする畑もあります。

食べれそう。。みたいな感覚になるようなホコホコフカフカの土壌です。

また、砂風呂のように埋まってみたいと感じさせる畑さえあります。


そのような感覚のする畑の植物はおしなべて素晴らしい美味しさや

見た目の艶やかさ、日持ちの良さなど

高いクオリティを備えている傾向があるように思います。


数値化するよりもむしろ自らの感覚で

快不快が判別できる力を養っていくほうが現場では何かと役に立ちます。


五感を研ぎ澄まし観察する力を養っていくことで

今まで気が付かなかった圃場環境の変化を感じ取れるようになるからです。


科学的な分析やさまざまな知見を導入しつつ

五感で感じる農業ができるのも自然栽培の醍醐味ですね。


また、田んぼの場合は水を利用します。

そのため、自然栽培を行っていく中で土壌の性質が変化するスピードは

畑に比べて早い傾向にあります。


続く

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山田憲吾
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