[小話]小心者のセールスマン撃退法
セールスマン?
昨晩帰宅すると、エントランスモニターの履歴ボタンがピコピコ点滅していた。
「あれ、不在票は入って無かったよな...」
......!
とてつもなく怪しい。
「まぁ、部屋番号間違えたんだろう。ソウイウコトモアルヨネー( ・ω・)」
と自分に言い聞かせその場はやり過ごす事にした。取り越し苦労は心身に良くないし。
その30分後。
...やっぱりまた来た!!!どうするどうする
居留守を使おうかとも思ったが、留守かと思われてまた後日来られるのもダルい。
しかも居留守を使って正体不明の相手に対してモヤモヤし続けるのが一番嫌なので、インターホン越しに出てみる事にした。
じぶん
「....はい。」
スーツ
『○○○○(アパート名)のご不在だった部屋を順にお尋ねしています、♨︎♫♂★$のイシカワ(仮称)と申しますが、年金の*☆¥∂∀☀︎の件をご説明に来ましたー』
じぶん
「えーと、どちら様ですか?」
スーツ
『あ、♨︎♫♂★$のイシカワですー。
怪しいものじゃないので身分証明書もちゃんとありますよ』
(年金関係なら年金機構からお知らせのハガキが来るはずだし、民間の積み立て系のやつか?
にしても一方的だし食い気味だし早口だし何言ってるのかよくわからない。
自分で怪しいものって言ってるようなもんじゃん!
というか怖いし!!人のゾーンに一方的に踏み込もうとしてくる気色悪さが耐えられない。
もう話し続けたくない...)
じぶん
「あー結構なんで!」
スーツ
『あ、もしかしてもうご説明受けました?』
じぶん
「あーはいそうですねぇ受けましたよぉ🙂」
スーツ
『じゃー担当者名教えてもらっていいですか?担当者名ー」
やられたなぁ、と思った。完全に誘導された。
多分定石パターンにハマってる。
でもそもそも、こいつは何のためにここに来ているのか?口喧嘩?
こちらが不快になる受け答えをしたところで話が続かないって思わないのだろうか?
...なんて冷静に思考を巡らしながら対応出来ていたわけではなく、恐怖と怒りがない混ぜになって言葉が出なかった。
いざという時にこうなるのって、幼少期の愛着形成が一つの要因って何かで読んだ。
ちょっとずつ克服したいと思う。、、、と。
じぶん
「....どちら様かもう一度教えていただけますか?」
スーツ
『♨︎♫♂★$のイシカワで』
じぶん
「もう一度、お願いします。」
スーツ
『□□□□(社名)のイシカワです』
じぶん
「□□□□、、」
スマホでその社名を検索してみたが、それっぽいものは全くヒットしない。
その後は対応する気力がなくなってひたすら無視を続けた。インターホンを何度か鳴らされたが、スーツは去っていった...。
って。
撃退してないじゃん!
そうです撃退してないです喧嘩なんてしたくないしトラブルになったら嫌だからできないにきまってるでしょうが(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
おこめ流、怒りの鎮め方
その場は恐怖で脳内砂糖漬け状態になり何も言えなかったが。
怒りは後から沸々と湧いてくるものだ。
ご飯をゆっくり味わおうとしても、お湯に浸かっても、ベッドに横になっても。翌朝になっても。
浮かぶのはスーツの顔。
平穏な生活を乱しやがって。クソ野郎。
そもそもお金はサービスに対する対価だろうが感謝の気持ちだろうが応援の気持ちだろうがアポも取らずに自分勝手に訪問したあげく一方的に話して人を脅してそこに漬け込もうだなんて許せないしとにかく気持ち悪いしもう二度とくるなってか死ね!
、、、って具合に。笑
まずはこの気持ちをひたすらに罫線のない真っ白なノートに書き殴る。
(だいぶ主観や偏見まみれですが、それでもいいんです。とにかくジャッジしないこと。)
そのあと、スーツと自分が向き合っている場面をイメージする。そして、身体中の怒りを込めてこう叫ぶ!(想像の中で)
「この、男!!!!!!!!!人間!!!スーツ!!!ネクタイーーーーーーー!!!!(してないけど)」
ポイントは、叫ぶ内容に自分の感情を入れ込まないこと。
感情は
「叫ぶという行為自体」
に込めるイメージ。
内容は、その男の属性や身につけているものなど、なるべくありのままを反映したものにする。
(例えば、「このハゲ!」は大抵侮蔑の気持ちが入ってると考えられるからNG)
言葉を思いっきり叫ぶことでなんだかスッキリしてくる。
感情の霧が晴れると、「イメージの中で言葉を叫んでいる自分」が少し客観的に見えてくる。
しかもその内容が
「男!人間!スーツ!ネクタイ!」
というなんとも言い難いシュールさを帯びたものである。
「いやまぁそりゃそうだろ💁♂️」
って突っ込みたくなるような感じ。
ちょっと笑えてくる。
笑えてくると、ちょっと心が軽くなる。
心が軽くなると、なんだかまぁいいかって思えてくる。
まぁいいか、って一発で思おうとしても思えるもんじゃないけど、ここまで丁寧に処理してみて、まぁいいか、って感覚が向こうからやってきてくれる感じ。
まぁいいかって思えると、見方がフラットになる。
「人間、ってことは"じぶん"も"スーツ"もおんなじだな。」
「"じぶん"も"スーツ"もその意味では仲間やん、広い意味で仲良くやろうや」
「ちょっと考え方がや価値観が違っているだけ。」
「見方はその人の自由だし、どこで怒るかも然り。あー怒った怒った」
てな感じで。いろいろ許せてくる。
もし仮に
「クソやろう!死ね!」
って叫んでしまったら、その時点で
こんなグラデーションが出来上がってしまう。
叫んだ瞬間は気持ちが晴れた気になっても、頭の片隅に「クソ野郎」の存在が焼き付くから暫くするとまた「クソ野郎!」と叫びたくなる。
(一種の依存症みたいな)
その結果として自分自身が愚痴っぽい人間になってしまうのは、、、嫌だなぁって思うんです。
そしてこの「聖人-クソ野郎」のグラデーションが強化されてしまうと、自分自身を日頃から裁いてしまうことになりかねない。
その積み重ねは生きる活力を奪ってしまう。
ちょっと本を読んだりもして、自分の心にフッと浮かんできた方法ですが。
ぜひお試しあれ(?)
以上、
小心者のセールスマン
に対する怒り
撃退法
でした。
(なんかごめんなさい)
おわりに
そもそも、これは僕自身が
「なるべく心穏やかに生きたいよね〜」
って考えているところがスタートになっているので、
『何が何でも相手を説き伏せたい!』
という価値観の方には合わないと思います。
基本的に先入観で
「怖い!から見ない!聞かない!話さない!」
ってスタンスでいると、いつまでも
「周りの人間はみんな敵」
っていう恐怖感からは解放されないと思っているからなるべくオープンでいたいとは思っている。
が、エネルギーも有限なので
「こいつ無理!なんか無理!シャッターガラガラ-」
ってパターンもあっていいんじゃないかと思いました。(*'-')ゞ
スーツ、人間として仲良く生きていこうな。
(だからもう二度と来るなよ)
てかよくよく考えたら、自分がエントランスからスーツを中に入れてしまったら、他の入居者の方にも迷惑になるから絶対入れちゃダメだな、と思った。
実は真っ当な人だった、ってオチあるかな。
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