大富豪からの手紙
この一冊を「自分の人生で今起きていること」と重ね合わせて読むことで、面白い体験ができた。
第1の手紙【偶然】
「どんなことが起きても、それは自分を幸せにするために起こっている」
数々の出会いが、どれだけ人生を豊かにカラフルにしてくれるかを考えたことがあるだろうか。
人生において「出会いは宝」が私の座右の銘だ。
いいと思える出会いだけでなく、嫌な思いを引き起こした出会いですらそうだと私は思う。今、本当にそう思う。
この本の祖父からの【第一の手紙】の冒頭に、「偶然というものは、この世には存在しない」という文があり、それを目にしたときにふとその座右の銘が頭に浮かんできた。
私自身、夏に義父が他界し、悲しむ間もなく、夫と妹2人遺産相続のことでもめ始めた。4ヵ月ほど経ち、それが解決の方向へ舵をきった翌日にこの本を開いた。
この期間、妻である私は部外者の立場と言いつつも、嫌な気持ちになったり、いわれなきことを言われたり、余計なことに気を奪われ、不眠に悩んだ。
人が豹変するところを目の当たりにして驚き、「怒りに任せて、なんてことを言うんだ。」という思いを内側に抱えていた。
そして、お互いによき方向を導き出したとき、「私に対して申し訳なかった」という気持ちがあるということを第三者を通じて耳にした。
それを聞いた私は、怒りと涙が込み上げてきた。許せる気がしなかった。自分の意を通すために人を陥れるような言動をして、人を傷つけ、人を振り回し、「この4ヵ月間の私の精神的苦痛をどうしてくれるの?!」「そんな風に後で言うくらいなら・・・」と、どうにも気持ちが収まらなかった。
でも、この本を読み始めて、私は彼女たちにも感謝の気持ちが少しずつ出てきた。私の中の豊かさというのは、どういったものかを改めてみつめることができた。そして、身をもって知ることができた。
「自分の人生をどのようにクリエイトするのか」
そして、自分の人生をしたいようにできるのだ。現実を創造するためには、その覚悟とどれだけそこにエネルギーを注ぐのかということ。
私にとって、彼女たちのやり方は好きではないが、それは個人の考えだし、彼女たちはそのようにしかできなかった。別の方法を知らなかったのだ。
夢があっても、実現するためハードルを感じている私に「よし!私も、自分の望む現実創造へエネルギーを向けていこう」そんな風に思わせてくれる出来事だった。
まさに、文中にある「偶然と直感に意識を向けることで、人生が動き出す」ということだ。
そして、出来事を俯瞰して、自分の内側で起きていることに意識を向けることで、すべてが感謝に代わるのかもしれない。
まだ、内側にモヤモヤした収まらない気持ちが残っているけれど、それも時機に消えて、心からの「ありがとう」に変わるのだろう。
この「偶然」のタイミングに感謝である。
第2の手紙【決断】
「成功への秘訣は決めること」
決断をついつい先延ばしにしてしまう。
オンラインんで、「ゴールセッティング」や「願望実現」のプログラムを購入し、実践。受講するとなんだか自分の望む未来に近づいた気持ちになる。でも、それだけでは実現しないのだ。行動が伴わなければ。
そのためには、まず自分の夢を実現すると決断をすることは必要不可欠。
「成功なんて、自分にはできない」「夢は夢だ」という人は、必要な才能やお金、時間がないのではない。往々にして、叶えたいと思いながら「叶える」という決断ができていないのである。
まさにこの章の【決断】だ。
「決断した瞬間に、その未来は同時に誕生する」という文章に心がときめきを覚えた。
決めた瞬間に、現実が動きだすからこそ、決断できないときもある。しかし、人生は選択・決断の連続だ。何もしないという時でさえ、「何もしない」ということを決めている。それならば、積極的に決断して、そのことに慣れていき、次々に起こる現実を楽しみながら、起きることを受け入れ、また次の決断を楽しんでいる方がずっと人生豊かだ。
1ランク上の決断ができるようになってくると、想像を超える未来へ行くことができるようになる。これが、人生のステージを変える、次元上昇ということだ。
「できると決断」すると、それが近づいてくる。これが、引き寄せの法則で、必要なのは「できる」という決断と信頼。
「決断」といっても、何をどう決めたらいいのかわからない人にもアドバイスがあった。ただ、「決める」。それだけだ。
「なにを?」と思った方は、ぜひこの本を手にしてみてほしい。
「決める」といっても、それがなかなかできない。なぜなら決めるのが怖いから。本を読み進めて、それはじぶんだけでなないことを知った。誰しもが、何か新しいことを決めるときに不安な気持ちや恐怖心が湧き出てくるらしい。このことを知っただけでもずいぶん気持ちが楽になった。
決断するときに出てきた不安への対処法の一つ目がそれだ。次に、その不安の裏側にあるワクワクする気持ちにフォーカスすること。そう、すべては表裏一体で、不安とワクワクの二つの感覚がある。そして、不安よりもワクワク感が上回ったら、知らずに怖くて動けなかった状態を抜けることができるのだと。
そして、三つ目「決断にストレスを感じることほど即決する」即決できるようになるとスタート地点での足踏みがなくなる。不安を感じては、自分の内側でその感情をこねくり回してしまう。この躊躇している時間は、確かにもったいない。「心配していることの90%以上は、実際には起きない」のだそうだ。
なるほど!これを知ったら、決断と仲良くなれそうだ。
第3の手紙【直感】
直感というものは、「これが直感!」とわかるような、わからないような。そんなところがある。ただ、自分に余裕がないと受け取れないというのは理解できていた。
この章では、直感は英知であり、幸せに導くためのナビゲーションシステムであると書いてあった。そして、ワクワクやゾクッとする体感があったり、楽しくなってくる、身体が熱くなるというのがサイン。
これが直感なのかどうかということを考えることは無意味に思えた。体感を信じて、前章の「決断」が必要なのだと思った。
決断も直感も自分を信頼することが大切だ。そして、正解なのかどうかではなく、「行動」をすること。
第4の手紙【行動】
ちゃんと、この本の少年の祖父が残した手紙に沿ってキーワードが浮かんできていることに、心がワクワクする。
この手紙では、人生の意味・行動することの意味について、そしていかに生きるか、生きたいのかを考えさせられた。
すべてには表裏一体、二面性がある。行動にも、静と動があるのだと思う。足止めされて、実際に身体を動かす行動をとることができないとき、人は苛立ったり、落ち込んだり、人生うまくいっていないように感じるが、それはそうする必要があって起こることで、まさに直感を受け取ったり、シンクロニシティが起こる前兆だったりするのだろう。
第5の手紙【お金】
「お金」という存在にどうしてこれほどまでに翻弄させられるのか。
私たちは、学生時代に自分で選択しない限りお金について学ぶ機会がなく、何も知らないまま社会に飛び出す。そのために、付き合い方やその意味を知らないのだ。
そして、間違った概念を持ち、お金に自分の価値基準を重ね合わせていたり、お金=〇〇といった思い込みをしてしまうのだろう。
例えば、「お金があれば自由である。」とか「お金を持つことで権威を手に入れた。」といったように。
お金の正体とシステムについてわかりやすく説いていた文章を読み。なるほど、このようにとらえることを自分の中に落とし込めば、お金との良い関係性が築いていけそうである。人生に必要なものの優先順位をしっかり理解していれば、お金に振り回されることもなくし、自分の人生を歩いていける。
第6の手紙【仕事】
仕事=お金という思考になりがちだが、仕事の醍醐味は「誰かに何かをしてあげて感謝されること」であると本書では語っている
確かに、私たちには多かれ少なかれ(その是非は置いておいて)承認欲求がある。誰かの役に立ち、喜んでもらうことで、自身の存在意義を感じたり、喜びを感じ、その欲求が満たされる。
そこに自分の才能を生かし誰かを幸せにすることができたら最高だ。
そして、「天職」というものに出会い、それで社会貢献ができればさらに人生の満足度が高まる。
天職というのは、なにも「まさに、これをするために生まれてきた!」と思うようなものだけではなく、「今やっている仕事を好きになる」ということで、それが天職とななることもあるのだそうだ。
「天職を探し出す道のりこそが人生の道のり」
自分に向き合いあながら、今やっていることに一生懸命取り組んでみることこそが生きているということなのだろう。
「仕事」「仕事とは」について、悩んでいる人にはぜひ参考にしてみてほしい。
第7の手紙【失敗】
行動を起こして、うまくいかなかったとき「失敗」となる。そこで、やめてしまえば失敗は失敗のまま。それを踏まえて挑戦し続けるから成功する。そして、成功への秘訣はあきらめず行動し続けるということ。確かにそうだ!
失敗するには3つの理由があり、それは「傲慢さ」「計画と検証の甘さ」「人間関係」。広い視野をもって、色々な視点から見て行動することが大切。
この章でも、「人生とは」「仕事とは」ということを教えてくれている。
第8の手紙【人間関係】
「幸せの定義」
人は誰しも幸せになりたいと思ってい生きている。それなのに、幸せを感じられずに生きている人が多い。
なぜだろう?
それは、「○○が手に入れば幸せ」という考えを持っているから。
本当にそうなのか?
幸福感を感じるには、内面の豊かさ、満たされているという感覚が大切で、そこを深めるためにも人と人との関りがカギを握っているといえそうだ。
第9の手紙【運命】
運命とは?宿命とは?
人生は、自分自身の力が及ばないことも多いけれど、常に自分に選択肢があるということを心に道を切り拓いていきたいと思う。
さいごに
この小説では、大富豪だった祖父は財産というようなものは全く残すことなく、その代わりに手紙によって【人生で大切なものを学ぶ機会】というものを残した。
学校では学ぶことのない大切なものを学んだ主人公の成長記録、とても多くのものを学んだように思う。
多くの人に、特に10代~20代に読んでもらいたい作品だと思った。