散歩中の引っ張り癖の解消

子犬と散歩中によく思う事がある。
よその犬は、なんて穏やかに歩いているのだろう、と。

リードを引っ張ることなく、飼い主の歩くペースに合わせてスタスタと優雅に歩いている姿とは対称に、我が家の子犬はとにかく落ち着きがなく、終始地面の匂いを嗅ぎまわり(前を見て歩かない)、人や犬の気配を察するとロックオンし、そのままグイグイと突っ込んで行こうとする。

まだ幼いのだから仕方ないと自分に言い聞かせつつも、やはり隣の芝は青く見えてしまうものである。

当初は子犬のペースに合わせ、早歩きや小走り、時には本気ダッシュでつき合ったりしていたのだけど、ここ最近は暑いのに加え、持病の腰痛が悪化してきたこともあり、長期目線でみた散歩のありかたを根本的に見直したいと考えている。

特に、ここ最近ではいわゆる「拒否柴」の頻度が高くなってきた。

最初のうちは子犬が歩き始めるまで待っていたけれど、いまは梅雨時期であり、雨雲の切れ間を塗うように時間を気にして散歩に出ているため、子犬が前足で踏ん張ってブレーキをかけているのを無視し、無理やりリードを引っ張って歩かせていると、ちょっとした虐待をしているような気分になってくる。

このようなことを繰り返しているうちに、毎日の散歩が段々ストレスに感じるようになってきた。そして、それは子犬にとっても非常に強いストレスなのだろうと感じている。

引っ張り癖の解消に有効とされる、首が閉まるようなリードを使うのは生理的に抵抗があるので、とりあえず簡単そうな「引っ張ったら立ち止まり、リードが緩んだら歩きだす」という方法を実行してみた。

結果。
あれ?もしかして引っ張りが弱くなった?
いやいや、まさかそんなすぐに変わるわけはないだろうと思っていたのだけど、この日を境に、以前のような終始引っ張り続けるような歩き方は明らかに軽減していった。

もちろん完璧ではなく、動いているものや人や犬を見れば相変わらずロックオンするし、用を足すまでの間はグングン突き進んでいくのだけど、以前のように引っ張り過ぎて器官が締まり、ヒイヒイゼエゼエという悲痛な呼吸音を鳴らすようなことはなくなった。

進みたくない方向には断固としてブレーキをかけていた拒否柴は、進行方向に少し角度をつけてリードに軽くテンションをかけて、「ほら、行くよ」と声をかけてゆっくり歩き始めると、割とすんなり付いてくるようになってきた。

子犬が私に合わせるようになったのもそうだけど、私自身も子犬に合わせるように意識が変わったのだろう。
お互いが折り合いをつけながら歩いているような今の感覚と比較すると、以前はそれぞれの自己主張をぶつけ合っていたような感じだった。

どこかで見聞きした、「リードは愛犬と手を繋いでいるようなもの」という感覚を、少しずつだけど掴み始めてきたような気がしている。


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