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#3 公民の授業困っていませんか? 準備編②
日頃の校務お疲れ様です。こんにちは。けーすけです。
前回の記事に引き続き、授業をつくり方について発信をしています。
My 授業のつくり方
【1】知識の確認
【2】MGを考える ← 今ココ
【3】MQを考える
【4】想定される解答を何パターンか考える
【5】MQまでにたどりつくためのSQ・知識を導き出す
【6】MQにいたる導入を考える
【7】教材の作成
【2】MGを考える
みなさんは、授業準備をするときに「本時の目標」を決めると思います。しかし授業の内容や方法は考えついても、目標をどう決めればいいか悩んだことはありませんか?私もそんな経験があります。ただ目標が曖昧だと、生徒は「この授業は何をすべきなのか」、「何をすれば自分は学んだことになるのか」がわからない状態に陥ってしまいます。
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本記事では、「本時の目標」略して、MG(Main Goal)の決め方について説明していきます。
MGの決め方
決め方について説明する前に、良くない目標を紹介しておきます。
良くない目標の例
・「民主主義のしくみ」について理解する
・「価格決定のメカニズム」をマスターする
・「なぜ中央銀行が必要か」を考える
正直、教員を始めた当初はこんな感じの目標でした。ただし経験の中で、生徒のモチベーションを上げるには、予め適切な目標を考え抜いて設定することが必要だと考えに至りました。
生徒の目標達成の状態が明確に定義されていなければ、それは真の意味での目標とは言えません。忘れがちですが、目標と達成はセットです。現にメルボルン大学名誉教授のジョン・ハッティ氏、アウクスブルク大学教授のクラウス・チィーラー氏は、共著『教師のための教育効果を高めるマインドフレーム――可視化された授業づくりの10の秘訣――』において、授業づくりの秘訣の1つとして「何ができたら成功なのかを最初から生徒に明確に伝える」ことを挙げています。つまり授業準備の段階で、授業の学習目標と成功基準を考えておく必要があるわけです。
そう考えると、良くない目標の例の「~を理解する」「~をマスターする」「~を考える」という表現は、生徒がこの目標を初めて見た時、どうすれば「理解した」「マスターした」ことになるのか、「考えた」ことになるのかが全くわかりません。結果として生徒は目標を失い、意欲を失ってしまうのです。
それでは、これを避けるにはどのような工夫が必要なのでしょうか。
正しいMGの考え方
①学び=「変化」という観点で考えること
②達成状況を評価できるように具体化させること
①学び=「変化」という観点で考えること
漠然と考えても難しいので、生徒の姿を想像し、授業はじまりのチャイムが鳴ったときから終わりのチャイムが鳴るときまでの間に、「生徒がどのように変化してほしいか」を考えるとよいでしょう。
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これでも難しければ、次のことをして下さい。次の〇〇〇、■■■、△△△に当てはまる言葉が出てこれば、ほぼMGは決まったと言っても過言ではありません。
授業 前
生徒は、〇〇〇を理解していなかったから、■■■できなかった。
だから△△△な生活を送れなかった。
↓
授業 後
生徒は、〇〇〇を理解したから、■■■できるようになった!
だから△△△な生活を送ることができるようになった!
〇〇〇 → 知識
・基礎知識が構造化・概念化したもの
・【知識・技能】何を理解しているか
■■■ → 行動
・知識をいかして、思考した結果、観察可能な行動として現れるもの
・【思考力・判断力・表現力】理解していること・できることをどう使うか
△△△ → 生き方
・知識や行動を習得した結果、教室外に及んで発揮できる究極的なシティズンシップ
・【学びに向かう力、人間性等】どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか
例えば…
・「多数決だけが民主主義ではないということ」を理解したから、
・「どうすれば政治的な決定に民意が反映されるのかについて自分の意見を持つことが」できるようになった!
・だから「何か物事の決めるときには、話し合いやくじ引きも選択肢に入れる」生活を送ることができるようになった!
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こんな感じで、教室の目の前の生徒の変化を考えながら目標を決めると、意外と簡単に、質の高い授業がつくれます。また従来の知識偏重型の授業にならずに済み、さらに評価もしやすくなります。「何を教えるか」、「どう教えるか」以前に、「そもそもこれを教えて何になるのか」を考え、生徒に語ることのできる人が、理想の教師だと思います(私もできているか大分心配ですが笑)。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
大分長くなったので、続きの②は次の記事とします。
それでは。