不自由

ぼくは、ひとりでは動けない
誰かに運ばれなければこの場から離れられない
でも、運ばれるとき、たいてい痛い思いをする
何かの力がぼくに加わって、ぼくは宙を舞う
そして、地面に落ちる
場合によっては、ほかの子にぶつかることもある
この全てで、ぼくは痛みを感じる
だから、動きたいといえばそうだし、動きたくないといえばそう
動きたいんだか、動きたくないんだか、自分でもよくわからない
ぼくは不自由だ
自分の意思では何もできない
存在していていいのだろうか、と思うこともある
でも、ぼくを使ってくれるものもいる
ぼくの下に身を潜める虫がいる
ぼくを持って帰り、どこかに飾る人間がいる
そういうものたちにとっては、ぼくは都合のいい存在だ
だったら存在していてもいいかな、と思う
でも痛い思いはしたくない
痛い思いをするかも、と思って存在したくない
どうすればいいんだろう
ぼくは、悩んでいる。

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