「いいこといっぱい、一年生」授業記録第5時

第5時


第3時までは、「したこと」「言った、言われたこと」「思い」(「しらせたいな、みせたいな」で既習の視点)でお試しメモをして題材の設定をしました。
第4時ではこれらの視点に加え、子供の文例やメモを機関指導して教師が顕在化させた視点(「うれしかった」「びっくりした」「できるようになった」等)から、メモを具体的にしていきました。
 
これを経ての第5時になります。この時間の重点は「構成の検討」です。とはいえ、書くことの学習ですから当然進度は様々です。前時までのメモを見ると、次のような状況でした。


・構成を検討する前にもう少し取材の必要がある(構成を検討するほどの材料がまだ揃っていない)・・・10名(座席表赤字)
・構成の検討中心で進めるが、取材にも立ち戻る必要がある・・・14名
・簡単な構成(時間の順序、伝えたいことから等)を考えたら、記述できそう・・・3名
・構成の検討を既に始めている・・・7名
 
座席表に赤・青で書いてあるのは、第5時に教師が助言しようとしている内容です。これは、教師と子供だけの関係にならないよう、子供版に書き換えたものを、子供たちにも提示しました。「赤字の人は、先生から見てもう少し取材が必要だと思った人へのアドバイスです。青字の人は、順番メインで考えていいと思うけれど、青字で書いたことは付箋にメモをしてみるといいよというアドバイスです。」と伝えて示しました。自分が(友達が)、何について考えるとよいのかを可視化したわけです。
1年生ですから、自分の課題が自分で分かっていなかったり、書けている気になっていたりすることも多々あります。伸ばすとよいことについても可視化することで、その時間の目的を明確にしたり、学び合って書くことの質を高たりすることが目的です。
 
すると、これを参考に取材・構成したのちに、メモを読み合う姿が見られました。
第4時に「チェックシートがほしい」と話した子がいるように、取材したことを推敲する観点になったようです。記述した後にたくさん直すのは大変ですから、メモのうちに直しておきたいという気持ちはよく分かります。
 
さて、この第5時の中心は「構成の検討」です。ここで、やっと掲示だけしていて、全体では読んでいなかった文例を紹介しました。ある程度のメモができた段階で紹介すれば、内容・表現面で文例に引きずられにくいと考えたためです。
 
前時の段階でも、メモの例を黒板に貼ると、既に「順番を替えた方がいい!」と話す子たちがいました。単元の見通し(情報が集まったら、集めながら構成を考える)をもっていることが分かります。
構成を検討するには、検討するだけの材料がないといけないですから、メモがある程度揃った段階のメモ例を黒板に貼り、子供たちに構成を考えてもらいました。①教師の文例のメモ版、②教科書の文例のメモ版の2つについてです。
 
読み比べると、①は一番伝えたいことから、②は時間の順序に書いているという違いに気付きます。
自分はどうしたいかを考え、構成メモに付箋を移しました。「こうせいを入れかえてかんがえよう」というめあてで、複数パターンを比較しました。何度も付箋を貼り替えるのではなく、タブレットのカメラを使いました。
一番の瞬間から書いた構成で1枚、時間の順序で書いた構成で1枚写真を撮り、その画像を比較して、「この構成でいこう」というものを考えました。
 
1構成をじっくり悩む子
2構成はすぐ決まり、付け足すために取材に戻る子
3構成を検討するよりも取材で手一杯な子
4記述に進む子
 
という実態でした。教師は3の子を中心に助言しつつ、4の子はまだ記述のポイントを確かめていませんので、個別にまとまりごとに書くこと(既習事項)を伝えてから書くようにしました。
 
子供たちなりに付箋を取捨選択し、構成を検討したので、大方の子は次回記述から入ります。
ただ、2名は文章の終わり方が不自然だったり、1名は「まだ取材をしたい、中が思いつかない」ということで構成まで考えていなかったりしています。
この3名の子については、第6時で終わり方や中の詳しい内容を一緒に考えていく予定です。
 
次回は記述がメインになります。
構成メモができた勢いでどんどん書き進め、「題名がない」「まとまりごとでなく、一文ごとに改行している」「鉤括弧や内容のまとまりで一度も改行せず、一続きに書く」など、記述面の課題が多く見られてくることが予想されます。
構成メモの文例版と、よい文例・書き方を誤った文例を比較し、構成から記述の間でどのようなことを考えたのかを子供たちと確かめて書きたいと考えています。

(補足)
 教科書の構成上、本教材の指導事項は「構成の検討」が設定されています。確かに、「始め・中・終わり」の構成でまとまりごとに書くことは重要です。ただ、1年間で最後の書くこと教材であること、内容面からも学校生活全般の思い出を振り返ることから、「共有」を指導事項とすることで、書くことだけでなく学校生活への成就感をもたせることができると考えました。「構成の検討」は、今回の単元の重点指導事項には設定していませんが、第5時で時間の順序、事柄の順序(一番伝えたい事柄から)の2つを比較し、自らの文章構成を検討しました。

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