昇天
今日も赤切れた手を見てスポンジを握る
綺麗にならないゴミ箱もスポンジだらけ
僕が追い求めたケーキは
君に横取りされて
笑顔で通り過ぎる君に
目もくれず虚を見つめる
ガラスのトレーを落としてゆく
1枚2枚3枚4枚
どんどん落としてゆく
105枚106枚
もうどうにも分からない
僕が追い求めたケーキは
そんな曖昧だったかな
僕は都合よくトレーを1枚
減らしておく
風に乗る君が吐いた
ケーキの表面は
僕から酸素をどんどん
奪っていく
僕が追い求めたケーキは
あなた追い詰めたのかな
魚の味するケーキを
今日も見ながら黄昏れる
悪魔の涎の下の皿の上で
丸焦げになったケーキで
昇天させりゃよかったのかな