【連載】家族会議『へりくだる妻。いい気になる夫。』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議16回目#1|へりくだる妻。いい気になる夫。
――2020年2月14日。家族会議16回目。この日は2回目の家族会議の録音を聞きなおし、その感想や思いを話し合っている。
2回目の家族会議で話題に上っていたのは、実家の習慣の違い。
結婚当初、母は父から、自分の実家の習慣を馬鹿にされているような感覚があった。違いとして受け入れられず、見下されている気がして嫌だったと、語っていた。
この日の録音を聞いて、16回目の家族会議は始まった。
母:
すす漬けを私が初めて食べたとき「美味しいね」って言ったんだけど、そのときのお父さんの言い方も「ほーらそうだろう」みたいななんか…「美味しいよ?美味しいけどさ!…」みたいな気分になったこと覚えてる。
俺が美味しいと思うものは、美味しい…違うな、何か言ってたんだよな。そのときも嫌な気分になったんだけど
――補足。
すす漬けは父の実家でよく作られていて、父の大好物だったらしい。それを母がはじめて食べたときの、父の勝ち誇った反応に嫌な気持ちがしたという話だ。
母:
こういうのもあれかな、泉が言ってた…本音。尽くそうとしていたのは、ねばならないで、本音じゃない。
――些細な父の態度に過剰に反応してしまうのも、尽くさねばならない、従わねばならないという、抑圧があったからではないか。
そんな話がはじまった。
わたし:
ちょっと被害者意識っていうか。本当にやりたいことじゃないかったってこと?
母:
第一、結婚したら朝早く起きなきゃならないから嫌だなって言ってたんだもんね。とにかく結婚をそう捉えてたんだ。あと、自分もへりくだっていた。
わたし:
お父さんもさ、亭主関白みたいな、男性が上からみたいな態度でいるのが当たり前の時代で。だからその時代の人って特に多いっていうかさ。
お父さんはそれに疑問を持つこともなく、そういうもんだと思って普通にやってた。
母:
普通のつもり
わたし:
普通のつもりっていうか…。ただ、上からの方って気持ちいいからさ
母:
とは思う。
わたし:
自分がそれをやろうと思ってたかどうかに関わらず、嫌な気持ちになることがないのは上からの方でさ。
母:
だと思う。
――妻は夫を立てねばならない。妻は夫に従わねばならない。尽くさねばならないという思考からへりくだった態度となり、亭主関白な夫の権力欲を刺激する。
妻のしおらしい態度によって夫は、自分は周りの人がへりくだるような人間だと、いい気になって過大評価してしまうのかもしれない。
わたし:
下からの方は、虐げられてる。苦しい。みたいにはなっちゃうよね。自分の意識とは関係なく、世間の価値観に流されていたとしても、上からの方が気持ちいいし、下からの方は嫌だし。
こないだもお父さんと朝話してたんだけどさ、女性の立場が弱いっていうのも、時代的にずっとあったわけじゃん。今もまだまだあるわけだけど。
その下にさせられる方が嫌な気持ちには当然なるから。だから今こういう時代の流れになったっていうかさ。女性たち側が嫌な気持ちを散々してきたからだよね。
母:
お父さんから感じてたそういういろいろっていうのは、自分がへりくだっていたからっていうのもあるってことだよね、原因として。
でもお父さんは、普通って言っても普通じゃないと思うね。やっぱちょっと上から…。
わたし:
でも過剰に反応しがちだよね。原因はどっちかってことではないと思う。言う側の言い方も、受け取る側の受け取り方もにも、どっちにも原因がある。
母:
受け取り側のほうを言えば、やっぱり感じやすかった。
わたし:
うん。
母:
敏感になってるみたいなことだよね、その辺。
わたし:
うん。嫌な気持ちになるから。そういう言葉には敏感になってるよね、きっと。
- 今日はここまで -
男性中心の社会構造に疑問を持たず、女性自ら支配下に入り、例に習ってきた側面もあると思う。
抑圧している感情があることにも気づかずに。
だから些細なことにも気持ちが反応する。それをずっと根に持ったりする。
それらの感情が積もり積もって耐えきれなくなった結果が、熟年離婚なのかもしれない。
<次回に続く>