【連載】家族会議『家族会議で劇的に変化した気持ち』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議15回目#1|家族会議で劇的に変化した気持ち
――2020年2月10日。家族会議は15回目を迎えた。
1ヶ月を過ぎたこの日は、初日に行った家族会議の録音を振り返っている。
なぜ録音を聞くことになったのかは覚えていないのだけど、おそらく考えや意識に変化が出てきたからだったと思う。
初日の家族会議は、主に父に話してもらっていた。父が語った内容はこうだ。
まあ、初日の話は総じてひどいものだった。反省やら後悔やらを語りはするけれど、そこに気持ちは感じられない。戦略に過ぎなかったと思う。
逆に、戦略の隙間から見え隠れする本音がよく伝わってきた。父は、「家族が自分の思い通りになる」ことを望んでいるのだなと。
あ、そうそう。父の「思い通り」が、家族みんなが共感できるものなら何も問題は起こらない。父が自分のことしか考えていないから問題が起こる。
家族みんなのことを考えた「思い」ならば、家族会議をすることもなかっただろう。
前途多難だと感じた初日から1ヶ月を経て、わが家はどう変化したのか…。
母:
それこそチャラになったとか解消したとかではないんだけど、ではないんだけど、一方的に腹を立てた部分もあったと思うし。
あとほかにもいろんなエピソードで話ししたいことはあるけど…。
あとお父さんも例えば、ここ(家族会議)で話すだけじゃなくて、昼間とか朝とか会って、昨日の話とか、その日の何か話すことがあったら、ちゃんと伝えようと。些細なことでもちゃんと伝えようみたいな気持ちで話をしてくれるっていうのは、自分もそうしなきゃっていう感じにもなるし。
わたし:
うんうん。
母:
昔だったら説明するのも面倒くさいっていう感じだったけど、ちゃんと説明しようとしてくれるし。説明してもらえばそういうことなのねって納得もできるし。そういうところがそうだね。
だから腹を立てることが…。
お父さんが説明しようとしてくれてるから、こっちも、何か気になったことがあったら聞いて、黙って勝手な何妄想しないで聞いてみようとも思える。聞いたことに対してお父さんも答えようとしてくれるし。
そういうところかな。話をするようになったよね。前から比べると。
わたし:
うんうん。
母:
夜こうやって話したことでも次の日、「夕べのあの話」とかっていう何か、ちょっと話をしたりとか。何だろう、すごく精神が安定して。安定した生活ができるっていう感じかな。
わたし:
すごいね。
母:
うん、すごいと思う。
わたし:
すごいね本当に!
――家族会議をきっかけに、「話」をするようになった。会議のときだけではなく。
それだけで精神的に安定するほど、夫婦の会話というのは大事だったのだ。
母:
あとお父さんといろんな話をしてくる中で、お父さんっていい人なんだって最近気づいたっていうか
父:
なに?
母:
お父さんっていい人なんだなって。
父:
いい人(笑)
母:
その一生懸命何とかしようとしてるところが、なんていうの、いい人なんだなみたいな。このこと(家族会議)を一生懸命やっていこう、取り組もうとしてるところが、何かその取り組もうとしてる意識みたいなのを感じたときっていうか、熱意っていうほどじゃないにしても、やろうとしてるんだなっていうのを言葉の端々に感じたときとか、基本いい人なんだなみたいな感じって言ったらいいのかな。
わたし:
そうなんだね、すごいこと。
母:
すごいことだね。
わたし:
いい人なこと知らなかったってことね。
母:
そうだね。知らなかった。
わたし:
この何十年もの間。
母:
ひどい人だと思ったもんだって。私の妄想もすごいものだったんだと思うんだけど。
それは別にお父さんだけのせいじゃないよ?自分が聞かないとか、聞いてもその答えがうまく返ってこないだろうなってだんだんに諦めもしたし。
前は聞いて、そこで喧嘩になって、うまくいかなくて、もっと酷く妄想したりとかしてたけど。だからすごい、とにかく心が健康になる感じかな。
――これまでの父は、母が会話を求めても取り合わなかった。それが母にむなしさを感じさせ、会話をする気力を奪い、妄想や思い込みで余計に苦しむという悪循環を生んでいた。
ひどい人、冷たい人という決めつけにより怒りや恨みが沸いてきて、それが態度にもでるようになっていった。
会話もないのだから、父は母が何を思っているのかは知らない。徐々に態度が大きくなっていく母に、父は父でイライラしストレスをためていく。
こんなことが、上手くいかない夫婦の間には起こっているのだろう。
それが会話するだけで、こんなにも気持ちが変化してしまうのだ。
もちろん会話する上では、「向き合おうとする姿勢」と「気持ち(本音)を出す」という条件は外せないけど。
わたし:
変化だね。
母:
本当にそうです。
わたし:
すごいね本当に。
母:
1ヶ月でだよ?
わたし:
1ヵ月ぐらいで変わるもんなの?笑
母:
今まで何十年もできなかったのに。
わたし:
背景を知るって大事なんだね。
母:
そうだね、うんそうそうそう。それあるな。なんか思いやれるっていう感じかな。
わたし:
お父さんはどう??同じ感じ?
父:
まるっきり同じだわ。
――この1ヶ月間で主に話し合ってきたことは、主に思い込みを正すことだった。
どんな幼少期を過ごしてきたか。
親や親族とどんな関わりをしてきたか。
どんな思いで働いてきたか。
思い込みで決めつけていた相手の「背景」を知ることで、いくつかのわだかまりが解消し、お互いの印象が変わった。
とくに苦しみや悲しみを共有したことが大きかったのだと思う。
それによって、相手に寄り添う気持ちが沸いてくるようになったのだ。
- 今日はここまで -
こんなにも歩み寄りができた時期もあったんだなと、今思う。
ここから、何がどうして別居することになってしまったのか。
いい話し合いができるようになっても、振り出しに戻るのは簡単だ。
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!