ふくらむ
くもり空の河原で
あなたとお昼ごはんを食べた
まだ桜は咲いていないし
川のむこうには
化学工場がひたすらにひろがっているだけ
その工場のまえの道を
高校生のわたしは毎日
自転車で行き帰りしたんだ
そんなことを話してみた
あなたはずっとくしゃみをして
とまらないくしゃみをわたしはわらいながら
とちゅうのスーパーで買ったオムライスを食べた
オムライスはケチャップがかかりすぎていてからかったけど
いつもとちがうことをするのはたのしい
食べおわって
ゴミをスーパーのふくろにいれたら
ケチャップがふくろにいっぱいついて
赤くなった
鼻をかみたいけどティッシュがないあなたは帰りたがったけど
わたしはすこし歩こうといった
ベンチにすわっているおじいさんの連れている犬が
あそんでほしそうにこっちをみていた
とちゅう、梅の花のふくらんでいるつぼみを見た
川へ流れこむ排水溝の水は
ほかほかと湯気を立てて流れこんだ
あなたはその流れている水のほうへ走っていった
わたしは走っていくあなたを見ていた
もうすぐ
さくらもさく