![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142884266/rectangle_large_type_2_c5a6b96eb5b16b1a6e1c42570455a787.jpeg?width=1200)
探さなくていい
かんたんなことばなのに
むねがつまって
ことばがでない
わたしがAIだったら
あなたは仕事を愛していない
わたしは仕事を愛していないあなたといっしょにいるのが
つらいと感じている
とつまらずに言うことができる
涙も流さずに
すむ
でもAIは
じぶんではない人間が仕事を愛していないことに
悲しみを覚えたり
するのだろうか
わたしは人間なので
ふとした瞬間に
ぱっと暗闇に落ちて
泣く
人間のわたしは
どうして泣いているのだろう
ただ泣く
ただ泣く
ただ泣く
涙のリズムを
AIは学習することができるのだろうか
泣いているわたしを抱きしめたあなたの腕の感触を記憶することができるのだろうか
この悲しみがいつなくなるか
予測することは
できるのだろうか
わたしにもわかっていないわたしの気持ちを
把握することは
できるのだろうか
今あなたは何をして
何を感じているのだろうか
わたしは聞きたい
あなたは
どう感じていた
それを聞かぬまま
逃げ出してしまったことを
わたしは
後悔している
わたしたちは
たくさんの未来を生きているという
あなたのこどもを抱く未来を
わたしは生きていたこともある
それはまだ時空のどこかではつづいてるのかもしれない
あなたはそれを
一生しらないまま
あなたが思い描いた未来も
あなたがこれから生きる未来も
わたしは
一生しらないまま
でもほんとうは知ることができる方法があることを
わたしはしっている
もう一度
あなたのところまで
走っていけばいい
抱きしめてはなさなければいい
だけどわたしはそうしないと決めた
この選択が最善かどうかなど
聞く必要もない
ほんとうのわたしたちは
もうぜんぶしっている
そこでは理由など
探さなくていい