こころがここにない
1990年代後半、友人に勧められて読んだ本があります。
絵本のような、エッセイのような、
何気ない日常の中で、著者が感じていることを、
ゆる~くまとめた、ほっこりする内容の本でした。
その中の、ある1ページが今でも強く印象に残っています。
ちょうど、携帯電話が一般的になってきていた頃。
道を歩きながら、携帯電話を手にしている人が増えていました。
著者は、その光景について、イラストと言葉で
「身体はここにあるのに、こころがここにない人がたくさん」
といった感じの表現していたのです。
私は、ハッとして、
その通りだなぁと深く納得したのでした。
それから20数年経ち、携帯電話がスマートフォンに代わり、少しでも時間があくとスマートフォンを手にして動画を観たり、ニュースをチェックしたり、「こころがここにない人」がもっとたくさんになっています。
先日、23時を過ぎていたでしょうか。いつものダンスの練習を終え、車を運転して帰宅していたとき、真っ暗な歩道で、若い女性(学生に見えました)がスマホを見つめながら、とぼとぼと歩いていたのです。顔は真下を向き、意識は完全にスマホの中にある印象でした。
「なんて危険なことを!!」
と思わず注意したくなる光景でした。
人にぶつかったりしたら危険、という点だけではなく、
そんな遅い時間に、若い女性があまりにも無防備すぎる、という点です。
こころがここにない、というのは、
自分の身体に、周囲に、全く意識が向いていない状態です。
何か危険が身に迫っても、それに気付くのが遅れます。
幸い、日本は夜間に女性が一人で歩ける治安が保たれていますが、例え何も起こらないとしても、自分の身は自分で守る注意力は必要だと思うのです。
電車に乗ればスマホに集中して足元がおろそかになっている人、
家電量販店ではマッサージチェアで熟睡してしまっている女性、
見かけると心配になります。
身体とともに、こころもここにある。
そういう生き方をしたいものです。