マインドフルネスと宗教
マインドフルネスや瞑想と聞くと、「怪しい」とか「宗教っぽい」という印象を持たれることが多々あります。それがとても残念です。
マインドフルネスは宗教とは関係ありません。1970年代にアメリカの医療領域で開発されたマインドフルネスストレス低減プログラム(MBSR)は宗教色を排除しているからこそ、その後、欧米を中心に心理や教育、政府、企業など様々な領域で取り入れられていきました。
こころ学Laboのマインドフルネス道も、一般的なマインドフルネスと同じように、宗教とは全く関係ありません。
そのため、何か信仰をされている方も、宗教に抵抗を感じる方も、どなたでも取り組んでいただけるものです。私自身、宗教や非論理的なスピリチュアル系への抵抗感が強く、マインドフルネスを学ぶ団体を選ぶとき、そういった傾向が強くなく、本質を踏まえた内容であることを重視しました。
とはいっても、マインドフルネスストレス低減プログラムを構築されたジョン・カバット・ジン博士は、長年、アメリカで禅の老師から指導を受け、日本文化と道元禅師の思想に大きな影響を受けたと話されています。来日した際も、道元禅師のお言葉を多く引用しながら解説をされました。その点から、マインドフルネスは仏教ととても関係が深いという事実はあります。
では、仏教は…もう少し限定的な表現を使うと、釈尊が説いた教えは、宗教という枠組みに合てはまっているのでしょうか?
私は合てはまらないと考えています。なぜなら、釈尊が気付いたのは宇宙の真理であり、悩みの根源はどこにあるのか、悩みを解決するにはどうしたらいいのかなど、全ての人が活用できる生き方の方法を説いているからです。
つまり、釈尊の教えは宗教的な枠組みを超えて、広く人々の生活に役立つ普遍的な智慧だと言えます。それをわかりやすくプログラム化したものがマインドフルネスです。ですから、マインドフルネスの実践方法を生活に取り入れることによって、悩みに対処する力・生きる力が高まり、より豊かで充実した人生を送ることができるようになるのです。
最後に、マインドフルネスは宗教とは関係はありませんが、その根源にあるものを見失うと形だけになってしまう恐れがあります。その危険性を十分に認識し、当Laboでは本質を踏まえた正しい実践法を伝えられるよう努めています。