「がんになったのはなぜ自分?」焦らず進むための心のケア
がんのような診断は、突然の嵐のようにあなたの生活を一変させます。特にお子さんがいる場合や守る存在がいる場合は、その衝撃は計り知れません。「どうして自分だけがこんなことになってしまったのか」という思いでいっぱいになるかもしれません。
あなたの心がこの現実に少しずつ向き合っていくには、時間と心のプロセスが大事になります。無理に頑張ろうとしなくても大丈夫。自分を責めることなく、心のケアにつながっていくヒントをお伝えしますね。
1. 衝撃を受け入れるための心のプロセス
がんという診断を受けたとき、誰もが最初は「なぜ私が?」と思います。その問いにすぐに答えを見つけるのは難しいですよね。心が混乱し、悲しみや不安に押しつぶされそうになるかもしれません。
この衝撃的な出来事を受け入れるためには、いくつかの心のプロセスを経る必要があります。それが【驚き→否認→怒り→悲しみ→受容】という感情のプロセスです。大切なのは、このプロセスを自分のペースで歩むこと。
2. 無理に「受け入れよう」としなくていい
「がんを受け入れて前向きにならなければ」と、自分にプレッシャーをかける必要はありません。心は簡単にコントロールできるものではないのです。悲しいときや不安なときには、その感情に寄り添うことが大切。
たとえ周りの人が元気そうに見えても、自分はそうなれないと感じることがあるかもしれません。それでも、無理に笑顔を作ったり、頑張りすぎたりしなくて大丈夫です。今のあなたに必要なのは、「そのままの自分でいい」とご自分にそっと声をかけてあげることです。
3. 周りを羨ましいと思う気持ちも自然なこと
健康な友人や家族が日常を過ごしているのを見ると、羨ましく感じることがあるかもしれません。「どうして自分だけがこんなに苦しまなければならないのか」と思うこともあるでしょう。
そんな気持ちも自然な感情です。周りと比べてしまったり、「あの頃の自分に戻りたい」と願ったりする瞬間があっても、それを否定する必要はありません。感情をそのまま「そうか、そう感じるよね」とご自分に伝えてあげるだけで、心は楽になれるのです。あなたの心を大切にしてあげましょう。
4. 時間が新しい日常を作っていく
がんとの闘いは初めのうちは苦しくても、時間の経過とともに少しずつ新しい日常が形作られていくのです。例えば、お子さんがいる場合。治療の合間に子どもたちと過ごす瞬間や、小さな日常の出来事が少しずつ支えになっていくことと思います。
「このまま苦しい日々が続くのでは?」と感じるかもしれません。それでも心はゆっくりあなたのペースで変化をしていきます。新しい生活のペースを見つけていく中で、「今の自分でも大丈夫だ」と思える日が一歩ずつ近づいていきますよ。
5. 心が苦しいままのときは、専門家に頼っていい
もし、時間が経っても心の痛みが和らない。一人で抱えきれないと感じるときは、専門家のサポートを受けることも大切な選択肢です。主治医だけでなく、院内のソーシャルワーカー、臨床心理士、カウンセラーなどに気持ちを話してみるのはどうでしょうか。
サポートを求めることは弱さではなく、自分を大切にするための一歩。周囲の支えや専門的な助けを借りてみましょう。
がんとの闘いは孤独に思えるかもしれません。ですがあなたは一人ではありません。家族や友人、医療スタッフ、そして同じような経験をしている人たちがいます。あなたの感情に寄り添い、支えてくれる存在がいますよ。
無理に頑張る必要はありません。焦らず、今の自分の気持ちは否定しない。そうやって一つずつ自分のペースで進んでいきましょう。
もしお一人で抱えていて、周りに心配をかけないようにしている。迷惑をかけないようにしている。そんな時こそ、第三者にお気持ちを話してみませんか?話していく中で、少しずつ気持ちがほぐれていくこともあります。
お話をしてみたいな、という時はこちらまでご連絡ください。
少し勇気がいるかもしれませんが、これ以上お一人で抱え込ませんように。心が楽に穏やかになるお手伝いができれば幸いです。
かかりつけナースカウンセラー
岡田聡子
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