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鱧の天ぷらに込めた、ささやかなこだわり

鱧料理の本場、淡路島にある「こゝちよ」では、私自身のこだわりが詰まった独自の鱧天ぷらを提供しています。一般的な鱧の天ぷらとは違い、『あえて大きなポーション』でカットして揚げています。この理由はシンプルで、「かぶりつくことで鱧の美味しさをダイレクトに感じてもらいたい」からです。食べ応えがあり、インパクトのあるサイズにすることで、お客様に強い印象を残すことができます。

ただし、大きいポーションには課題もあります。『油切り』に特に気を配らないと、重たくなりがちです。そのため、天ぷらが軽く、サクサクとした食感を維持できるように、油をしっかり切る技術が重要です。こゝちよの担当者は、そこに全力を注ぎ、一つひとつ丁寧に仕上げています。

また、天ぷらの香りと風味を際立たせるために、『太白ごま油』という高級なごま油を使用しています。この油は風味が優しく、鱧の味を引き立てるのに最適です。そして、こだわりは油の交換頻度にも現れており、油が劣化する前に頻繁に交換しています。こうした細かい作業が、料理の仕上がりに大きな影響を与えるのです。

最後に、『淡路島産の自凝雫塩』でシンプルに味わっていただきます。この塩の豊かなミネラルが、鱧の天ぷらと太白ごま油の香りを絶妙に引き立てます。調味料はシンプルにして、素材そのものの良さを味わっていただくのが、こゝちよのスタイルです。

私が思うに、鱧を最も美味しく食べられる方法は天ぷらです。この一品は、こだわりと技術が詰まった、自信を持って提供する料理です。一度味わっていただければ、きっとその特別さを感じていただけるはずです。

ごま油でからりと揚げます


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