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カーペットに向かってカーッと痰を吐き出したご老人の一部始終を見てしまった件について
お食事前の方は、当記事をお読みになるのを避けたほうがよろしいかと思います
準備はできましたか?それでは内容に入っていきます。
あれは、天気の良かったお昼時の出来事…
視界に入っているご老人が、下に敷かれたカーペットに向かって痰を吐き出した。とんでもない瞬間を目に収めてしまったかもしれない。
自分はそのとき惣菜屋さんの列に並んでいて、順番待ちで手持ち無沙汰だったので辺りを見渡していた。そのとき目に入ったご老人は、買い物を終えた買い物カートを自分の傍らに停車させ、ベンチに座り体力を回復させていたようだった。
ひと段落ついたのか、ご老人は手を伸ばし横のカートのハンドルを掴もうとしていた。
そのときだった。
一切の予備動作なしで、いきなり下に向かって痰を吐き出したのだ。
これはたまげた。
驚きを隠せない自分は、「どうかこの場面を目撃した人物が自分一人じゃありませんように」と願いを込めて、ほかに目撃した”仲間”がいないかキョロキョロしてみた。
残念ながら、周りの人たちは自らの行為に集中しているようだったので、驚きの感情を目線でシェアできる”仲間”を探すことはできなかった。
落胆しつつもなぜかご老人のその後の行動に興味があり、引き続きウォッチングしてみた。ご老人はまだベンチから立ち上がっていなかった。フリーズしているようだ。自分でもこの現実を受け入れられていないのだろうか。
と思った途端、ご老人は全てを無に帰すために、精一杯おのれの足を使って証拠隠滅していた。タバコの火を足でグリグリ踏みつけて消すように。
本人は完璧にやり遂げたと思ったのか、素知らぬ顔でその場を後にした。床には彗星のようにある方向に薄く伸びきった痰が残っていた。
流石にこれを自分が掃除することは無理だし、清掃員の方が近くにいなかったため誰にもこの悲惨な状況を伝えることはできなかった。何だか自分も悪いことをしてしまったかような罪悪感だけが残った。忘れようと思っても、これから購入する総菜を食べる夕飯時にはまた思い出すんだろうなあ。
31音に封印しよう、そうしよう
忘れたくても忘れられない衝撃さをどうにかするため、この日の出来事を短歌にしてみた。汚い方向にいかないよう心掛けたのでぜひ読んでいただきたい。
積年の
酸いも甘いも
溜め込んだ
G彗星は(じーすいせいは)
透明なんだ