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狩野派 源氏物語図屛風(國華1550号〈特輯 源氏物語図屛風〉要旨)
三宅秀和
滋賀県 MIHO MUSEUM
紙本金地着色 六曲一双 各縦92.5㎝ 横271.4㎝
ここに紹介するMIHOミュージアム所蔵の中屛風は、『源氏物語』の各巻から右隻に10場面、左隻に9場面、合計19場面を選んで描いた六曲一双の作品である。狩野光信の様式で描かれた甲子園学院所蔵の「源氏物語絵巻」や伝宇佐神宮旧蔵の「源氏物語図屛風残闕」と場面選択、モチーフの姿形、配置、描写などがよく通じていることから、本作も狩野光信の様式を伝える源氏絵の一つと見なされる。向かって右隻の第4扇中段に描かれた場面は不明だが、狩野永徳が制作指揮をとった、八条宮智仁親王邸の旧障壁画で、皇居三の丸尚蔵館収蔵の「源氏物語図」にも描かれているものである。光信や光信周辺の絵師たちが、永徳が行っていた源氏絵を踏襲した部分であったと思われる。