信濃の仏像(國華1547号〈特輯 信濃の仏像〉要旨)
武笠朗 本稿は信濃国(現長野県)の仏像の総説である。その始まりの飛鳥時代から江戸時代までの展開を、おおむね順を追って時代ごとにその特徴を論述し、現存主要作例を示した。
最初に信濃の仏像のこれまでの研究史を概観し、かなり早くから調査発掘が進みその全体像が知られていたことを指摘した。信濃の仏像の始まりについては、信濃最古の創建とみられる信濃を代表する霊場寺院善光寺に注目し、飛鳥時代から奈良時代にかけて、この地に住んだ渡来系氏族により当地に仏像がもたらされ、あるいは造られ、それを