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ぐっとくる

刈安(かりやす)

緑の下染めとして
最高の染料

青味を帯びた金色が
藍の甕(かめ)にひそみ
ふたたび揚げられたとき
目をみはるばかりの緑が生まれる

緑の下染めとなって
自分は全く姿をあらわさず
すばらしい役目を
無言で果たす

目に見えないところで
ひっそりと輝いている
そんな姿にぐっときます

「色を奏でる」
志村ふくみさん著
井上隆雄さん写真
ちくま文庫

タイトル写真の表紙
えも言われぬ美しい色
その色に見惚れて
購入した古本

著者の志村ふくみさんは
機織りと植物染料による染色を
生業にされていて
重要無形文化財保持者でもある
すごいお方でした

作中の染めの写真も
さることながら
染めについて綴られる文章も
それは美しく

心かじゃぶじゃぶと洗われる
そして忘れがちな
自然への畏敬と感謝を
思い出させてくれる本です

美しい色を黙って支えている
刈安の慎ましい姿を
志村さんは心から愛していて
讃える詩を書いていらっしゃいます

とても素敵でしたので
詩の一部を抜粋して
ご紹介しますね

けれど今
あなた達は茎や葉や穂の、すべてを
捧げつくして生れ変ったのです。
この青味にまで深く透きとおった
金色の糸を
荘厳と呼ばずに、何と呼びましょう。

やがてあなた達は、暗い藍の壺に沈み
新生のみどりとして
人々の目をうばうでしょう。
けれど、あなた達の存在は
誰にも知られないのです。

伊吹の刈安よ
目に見えないところで輝くあなた達を
私は讃美せずにいられません。
あなた達は秋の陽の黄金の滴です。

あざやかな緑色そのものではなく
その色を支える目に見えない刈安を
心から愛していて讃える
志村さん

そのまなざしも
刈安と同様とてもうつくしく
ぐっとくるものだと
しみじみと感じ入りました

✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨

ここまで読んでくださいまして
どうもありがとうございます!



















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