小3 初めての夏期講習④
O塾の初日、仕事から帰ってきてすぐさま
「O塾、どうだった?」
と既に家でくつろいで遊んでいる息子に声をかけた。
「うん、わかったよー。」と遊ぶ手を止めず答えた。相変わらずボキャブラリーが貧困な回答である。思わず「何が」分かったのか、「どの程度」分かったのか、そして、どう思ったのか、「君ぃ、きちんとした文で説明しなければ、伝わらないのだよ!」と突っ込みたくなったが、そこは、相手は小学3年生、大目に見ようではないか。(いやいや、小学3年生でも言える子は言えるよね・・・。)
仕方がないので、一問一答形式で聞くことにした。
「今日はどんな授業だったの?」
「算数で、もう習ったことがあるやつだったから、簡単だった。(本当か?)」
「そう。先生はどんな先生だった?」
「男の先生。真面目な感じ?」
「面白かった?(これ、我が家では重要)」
「うーん、面白くは、ない(・・・ないのかっ)。優しかったけど。」
「そっか。ところで今日の宿題は?」
「宿題、ないよ。」
「え? ないの? 本当に? 聞き洩らしたんじゃないの?(疑いの目)」
「ううん、本当にないんだよ。」
あんまり息子を信用していない私はテキストやノートなどを見たが、本当に今日のところは宿題はないらしい。
「ね? ぼくが言った通りでしょ?」と息子が少し口を尖らせて言うので、
「は! 隊長殿! 疑って申し訳ございませんでしたっ!! 今後、気を付けるでありますっ!!」とおどけて謝るとゲラゲラ息子が笑い出した。ふぅー、笑いのハードルが低くて助かる。
息子の話をまとめると、O塾の授業は(今日の時点では)とても簡単だったので、息子にとっては退屈だったそうだ。そして、先生は優しかったけど、面白いことを一つも言わないので(Wアカデミーの先生は面白いことを言っていたらしい)、これまた息子にとってはつまらなかったとのこと。そのため、ぼくはWアカデミーがいいということだった。
それに対し、今日の授業は復習だったから簡単だっただけで、これから新しい項目に入ると退屈なんて言っていられない、それに、先生だって、たまたま今日の先生は面白くなかったかもしれないが、他にもたくさん先生がいるので1人だけで判断するのは早すぎるのではないか、とにかく、夏期講習が全部終わってから決めよう、と息子に伝えた。
しかしながら、夏期講習最終日を迎えた最終ジャッジにおいても
「Wアカデミーがいい。」
という意見はひっくり返らなかった。
でも・・・と私が心の中でつぶやく。Wアカデミー、宿題多いんだよね。これ、ずーっと私が見なくちゃなんないんでしょ。自信ないなぁ・・・、物理的に見る時間がないということもあるし、私の頭がついていけるかも疑問だし、何よりも、果たしてこの短気な私が怒らずに息子の勉強につきあっていけるのか?いや、いけないであろう(反語)。「怒ってはいけない24時」、「怒ってはいけないトライアスロン大会」、「怒らないデスマッチ・サドンデス」に参加するようなものだ。
だから、息子には申し訳ないが、やっぱり面倒見のいいO塾に行ってほしく、
「いやー、でもさ、Wアカデミー、これからもっともっと難しくなるよ、宿題もいーっぱい出るよ。テストも死ぬほどあるよ。夏期講習の宿題でもあんなに大変だったのに、息子君ついていける? TVだって見る時間、ぜーんぜんなくなるんじゃないかなぁ?」
半分脅しのように、Wアカデミーからの撤退を試みようとしたが、
「ぼくは難しいほうがいいんだ!」
と息子がきっぱりと言った。何故かと問うと
「だって、難しいほうが成長できるでしょ。ぼくは成長したいんだ。だから、辛くて、大変なほうがいいんだ!」
M、Mなのー!? いやぁ~~~~~~!!
予想外の息子の台詞に驚きもしたが、嬉しくもあった。私は覚悟を決めた。この先どうなるか分からないが、M気質の息子の受験を精一杯支えていこうと。
こうして、初めての夏期講習は終了したのであった。