小3 初めての夏期講習②
「じゃ、まずは1人でやってみてね。分からなかったら、お母さん呼んで。」
「はぁい!」
返事はすこぶる良い。その元気な返事に騙され、私はしばらく家事に追われていた。ちらちら息子を見ると、何だか、ボーッとしている。時折消しゴムを転がしている。
え?やっているのか? 声をかけたほうがいい? いやいや、呼ばれるまで、しばらく様子を見てみよう。
そう思った瞬間、息子が声を出した。
「おかぁーさーん、わかんない!」
「ん、どーれ?」
何問かやっているのかと思いきや、最初の1問目を今まで、ずーっと考えていたらしい。え?考えていたのか? 後半はただぼおーっとしていただけじゃないのか?
そして、その悩んでいる1問目は、ひじょーに簡単な計算問題だった・・・。
「えーっと、これって、今日やったところだよね?」
「うん、でも、わかんない。どうやるの?」
「先生は何て言ってたの?」
「忘れた。」うぉーっいいいい!!
短気な私は既に切れかけていたが、そこはグッと押さえて、
「じゃ、ノート、じゃなくって、テキストに書いたもの、見てみよっか。」
テキストを見る息子、そして一言。
「何書いているか、よくわかんない。」
ぶぅわっかもーん!!(怪傑ゾロリ風に)
ええ、ここにちゃぶ台があったら、ひっくり返しているところである。ここで、優しい理解のあるママなら、「じゃ、一緒に考えてみよっか」とか穏やかに言えるんだろうな。
しかし、しかぁーし、息子よ、短期なお母さんでごめんよー。ついつい、声を荒らげて言ってしまった。
「あのさ、授業分かったって言ったよね、出来たって言ったよね、これのどこが分かったって言えるの? 1問目から分からないってことは、それは即ち分かっていないって言うことなの、お母さんの言ってること、分・か・り・ま・す・か?」
はっ! 見ると、打たれ弱い息子が目に涙を浮かべていた。
「だって、ぼく、分かったって思ったんだもん・・・。」
「うん、そうだね。お母さん、言い過ぎちゃったね、ごめん、ごめん。最初だもんね、いろいろ分からないよね。一緒に考えよ!」
それから、二人で気を取り直して一緒に宿題に取り組んだ。一つの宿題が終わるまで、とーっても長ーい時間を有した。
宿題が終わって、気付いたこと。息子は私が思っているよりア〇だった。そして自分は思っている以上に短気だった。今回、怒らずに宿題を終えた瞬間
「自分で自分を褒めてあげたいです!」と心のインタビューに答えていた。
そう、まだ始まったばかり。一日目でこれなのに、これからどんな茨の道が待っているのだろうか・・・。修行だ!
(つづく・・・)