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佐藤先生に教わったこと-#14

このnoteは、星功基が2003年〜2007年に慶應義塾大学佐藤雅彦研究室に在籍していたころに佐藤先生に教わったことを思い出しながら書いているものです。

ビジネスの考え方についても、佐藤先生からたくさん教わりました。


「配荷率」と「パーフェクTV」

「湖池屋の仕事をしていたとき、僕は配荷率にコミットしていたんです。」
「もうその当時は、ポテトチップスは圧倒的にカルビーの一人勝ち。それを覆すようなCMをつくらなければならない。小売の人がそのCMをみて、あ、これは仕入れしないとと思う、そんなCMをつくらなければいけない。」
「本当のシェアでは全然負けているんだけど、存在感はいっちょまえにライバルみたいに。でも、CMの予算は少ない。だから、少ない放映量でも、圧倒的に認知をあげる、そのためにはどうしたらいいかを考えぬきました。」
「僕は音で印象に残そうと思ったのです。見終わった後も音が残響してCMの効果が持続するような。」
「おそらく配荷率にコミットしたCMプランナーは僕がはじめてだったと思います。」
「もうひとつ、パーフェクTVの仕事をしたとき。僕は、パーフェクTVの宣伝部に入るような特殊な関わり方で仕事してたんですね。広告予算が40億くらいあるわけですが、あ、僕がやるべき広告の仕事というのはこれくらい予算があるんだと思って。」
「そう思ったときにおもわず、「で、チューナーはいくらですか?」って聞いちゃったんです。そうしたら7万から8万と。100万人の加入がないと1年間でペイしないと。」
「それで僕は、とりあえず、3ヶ月30万人を目標にしましょう、と。そのために、広告予算の40億の半分の20億を削って、それをチューナーの値下げに補填しましょう。7万から8万では高すぎます。そうやって、なんとか、3ヶ月30万人を達成したんですね。広告費にはこんな使い方もあるのかとそのとき思いました。」
「saltのみなさん、社会に出たら、仕事は数値や結果にコミットしていかなければいけません。そのとき、ただ与えられた目標数値や結果だけで仕事を進めるのではなく、自分に本当に与えられるべき数値や結果はなんであるかを立ち止まって考えてほしいんです。そうすると仕事に主体的に関われるようになります。」


湖池屋についておまけの話。

あるとき、先生が湖池屋の社長に質問したときの話です。
「湖池屋の命はなんですか?」
 そうしたら、社長がこう答えたんです。
「そりゃあ、もう、フレーバーですよ。あの、粉。佐藤さん、湖池屋のスナックは、というかこの業界の命はフレーバー。フレーバー合戦をしているわけです。ポテトチップスとか、スコーンとか、カラムーチョのあのスナック部分は、その命であるフレーバーをのせるメディアです。もちろんメディア開発も怠りません。命であるフレーバーをのせるわけですから、いかにそのフレーバーを効果的に届けるか、凹凸はどうするか、大きさは、サクサク感はどのくらいがベストか、そういうことを日夜しのぎを削っているわけです。」

どの業界にも命がある。
スナックをメディアと捉えるのも面白い、と、よくいろいろなことのたとえでこの話をしていました。


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