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#4 ベトナム旅行記2024 旧植民地ツーリズム

ラオスにしろカンボジアにしろ、近年の旧フランス領インドシナの国々は、観光戦略に長けていて、「旧フランス植民地」ブランドをうまく活用して魅力的な街づくりを進めている。ユネスコが力を入れたラオスの世界遺産ルアンプラバンはもちろんのこと、カンボジアのプノンペン、カンポットなどもフレンチコロニアルスタイルを意識つつ、街が綺麗に整備されている。ハノイでは植民地主義の名残りが観光資源として活用されていた記憶はあまりなかったけれど、ホーチミンは植民地主義とベトナム戦争の記憶が街の観光の至る所に組み込まれていた。

今回、ホーチミンで泊まったのはサイゴン川沿いにあるHotel Majesticで、1920年代に建設されたコロニアル建築を活用したホテルだ。街の中心部近くに位置しており、歌劇場や郵便局などと共にホーチミンを代表するコロニアル建造物となっている。有名ホテルチェーンによる経営ではなく、国が所有している会社の経営するホテルということだったが、スタッフもいつも笑顔で、とても素敵なホテルだった。ホテルの内側にある小ぶりなプールもホーチミンの夏を涼むには最適だった。

滞在中に訪れた博物館や美術館はどれもよかったのだけれど、その中でも一番印象に残っているのはベトナム戦争証拠博物館だ。豊富な写真を用いて、ベトナム戦争がいかに悲惨なものであったのか、非常にわかりやすく展示されていた。歴史的な背景や史実の説明だけでなく、当時活躍していた戦争ジャーナリストの紹介や、枯葉剤の被害に関しても詳しい説明があったことも良かった。

毎日のようにメディアからはパレスチナやウクライナに関する報道が流れてくる。現在でも世界各地で続く戦争に対して、よりリアルに想いをよせるためにも、こういった戦争証拠博物館のような施設は本当に大切なものだと改めて考えさせられた。また、ミャンマーラカイン州内で行われたロヒンギャに対する弾圧に関しては、写真的な証拠が非常に限られている。クーデター後のミャンマー国内では人々報道の自由が奪われ続けている。ジャーナリストや惨状を歴史に残すことの大切さに関しても、改めて考えさせられる良い機会となった。

4日目
いつものようにマジェスティックホテルの朝食から1日は始まった。サイゴン川を臨む屋上のレストランで提供される朝食は、優雅で気持ちの良いものだったが、変にフランスを意識して昔のシャンソンをかけたりするのは正直安っぽい感じがしてやめた方が良いと思う(笑)。

朝食の後はベトナム戦争終結の舞台となった統一会堂を歩いて目指した。今日も日差しは強く、統一会堂内にもエアコンはないため、見て回るのも大変だったが、オーディオガイドを片手に、スパイの本拠地みたいな施設を回るのはとても楽しかったし、ためにもなった。オーディオガイド万歳。

統一会堂で歴史の勉強をしたのち、ホテルの近くに戻って、念願のバインミーをホテルの近所のレストラン、サイゴンフォー39で頂いた。昔、ラオスでよく食べていた、ミートボールのバインミーが本当は食べたかったのだけど、今回の旅では見つけることができなかったのが悔やまれる。ホテル近辺で土産物屋を回った後、夕方からは旅の疲れを癒すべく、Noirスパへ。とても美しい空間で、赤ダオ族のハーバルバスに入浴し、マッサージの施術を受けた。ホーチミンはスパが比較的廉価で嬉しい。

夜ご飯に向かったのは、昔、ホーチミンに住んだことのる友人に勧められたシークレット・ガーデン。小さなビルの屋上にあるレストランで、外国人ばかりだったけれど、開放的なレストランでとても良かった。帰り道に歩いているとホーチミン歌劇場前にレッドカーペットが引かれていて、人々が群がっている。今年初めて開催されたホーチミン国際映画祭の会場となっていたらしい。




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