生命はファインチューニングされているのか?その1
前回までで、宇宙と地球誕生におけるファインチューニングの話を届けてきました。
今回は、地球で誕生した「生命」の視点でのファインチューニング(もはや恣意的に使ってます・・・)についてネタを振りまいてみます。
まず、地球に生命が誕生した由来は、いまだに生物最大のミステリーの1つです。
ただ、選択肢はかぎられていて、下記の3択です。(排他的かどうかは分かりません。すべてかもしれません)
1.深海の中
2.地上(の水たまり)
3.地球外から飛来
おそらくいずれでも奇跡ともいえる出来事が起こったのだと思います。
とりあえずどの立場にとるにせよ、そこは大胆にスキップして単細胞が誕生したところから話を始めます。
前回、地球がアースボール(全球凍結)になったときに、水の特殊性が奇跡的に復活を果たしたという話をしました。
そもそもですが、なぜ凍ったのか?
一般的には太陽は歴史的に徐々に明るくなっていたと考えられています。
ならばなおさら、途中で地球を凍らしたのは、太陽活動が低下したわけではなさそうです。
1つの仮説は、「ある生物が繁殖したから」と考えられています。
その名も「シアノバクテリア」。名前の通り細菌の1種で、30億年前に誕生したとされています。
おそらくこの生物が有名なのは、地球上ではじめて光合成をおこなった生物という名誉です。
光合成、つまりCO2をO2に変換するわけで、これによって大気のCO2が海中にさらに吸収されていき、O2が大気に染み出ると(同じく温暖化ガスである)メタンが酸化されて減っていきます。
つまり、影響力のある温暖化ガス2つが減っていき、ついには凍ってしまったわけです。
「たった1種類の生物が地球を凍らした」
あくまで仮説の域を出ていませんが、スケールの大きい生物です。
そんな天下人(?)のシアノバクテリアですが、全球凍結、つまり氷で海面に蓋をされてしまったので、なかなか太陽光が得られなくなります。
ピンチです。
ところが、シアノバクテリアは氷が解けても生き残り続け、次のドラマを生み出します。
シアノバクテリアが光合成で生み出す「酸素」は、当時の既存生物にとっては「有毒」でした。
(もう少し丁寧にいえば、酸素がない環境に適した生命ばかりでした)
シアノバクテリアによる酸素は既存生物を淘汰し、この新しい環境にふさわしい「酸素をエネルギーに変換する」奇妙な生物が誕生します。
その名も「ミトコンドリア」。
なんとなく細胞の1組織名称として聞いたことがあると思います。
当初は独立した生物だったことが分かっています。
そして、ここが凄い話なのですが、シアノバクテリアがもたらした厳しい環境を生き抜くために、ある生物がこのミトコンドリアを食べて自身の生命パーツとしてしまいます。
ドラゴンボールに出てきた人造人間「セル」を連想させます。
この歴史的な吸収(共生とも)が、次世代の複雑な「真核生物」につながっていきます。