水素と鉄が生命にエネルギーを付与
生命が誕生した場所は、ざっくり下記の3種類が知られています。(確度はふれません)
1.地上の水たまり
2.深海の熱水噴出孔
3.宇宙から飛来
2については、過去に触れた投稿も載せておきます。
この熱水噴出孔説を補強する記事が投稿されているので紹介します。
今、我々人類含む生命体は酸素やリンなどをもとにエネルギーを作っています。
ただ、それは酸素が大量発生してから(約20億年前)の話で、それ以前では水素ではないか?という説もあります。
上記記事のタイトル画像は、水素ガスを放出する噴出孔で「ロストシティ」と呼ばれる場所です。こちらは以前にも紹介したので関心ある方はどうぞ。
さて、この水素ガスですが、どのようにしてエネルギーに変換されるのか?
まず摂取するのは、周囲にいる微生物です。かれらが水素ガスを消費し、それを使って二酸化炭素を生命の構成要素に変換したようです。
このプロセスには、水素原子にある電子を分割して異なる経路に送り、水をサイフォンで持ち上げるように、1 つの電子が別の電子を引き上げます。
つまり、そこそこ負荷がかかる仕事で、従来は何か複雑なたんぱく質が役割を担っているのだろうと思われていました。
今回の研究では、そんなたんぱく質は不要で、もっと単純な反応だったことが示されました。
水素は「水素結合」という特殊な構造で分子間をつないでいます。
それが、周囲の鉄の表面にふれるだけで分裂し、電子を放出することが今回の実験で明らかになりました。
そしてその電子が、同じく周囲に存在していた「フェレドキシン」と呼ばれる古代の生体分子にエネルギーを与えることになります。
これが実現できるのは、この噴出孔がアルカリ性であることも条件の1つです。
これによって、このロストシティのような古代の環境で単純な微生物がエネルギーを獲得できることが明らかになりました。
これで結論が出たわけではないですが、深海の熱水噴出孔説が一歩有利になったのは確かですね。
改めて「ロストシティ」というネーミングセンスに脱帽です☺
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?