新たなムーンショットは「がん」
よく野心的なチャレンジを「ムーンショット」と呼びます。
元々のきっかけは、J.F.ケネディが唱えた月面到着アポロ計画が由来です。
最近バイデン大統領が、新しいムーンショットを打ち上げました。
今回は、上記のケネディ大統領演説のちょうど50年目の同日に合わせてきたので、相当気合が入ったものです。
要は、
血液検査で早期がん検知を広めて、25年間で死亡率を半減させる、
という宣言です。
早期検知も含めて、下記の方針を今年になって打ち出しています。
こちらによると、2020年まででの米国死亡ランキングでは常に「がん」は2位です。
下記の通り「がん」にもいろんな種類があり、米国は地域格差もありそうなので、丸めて括るのは危険ですが、今回は「血液検査で複数がん早期発見」がポイントです。
このような検査を一般的にMCED(複数がん早期検出検査)と呼びます。
米国では、現時点で「ガレリ(Galleri)」という50種類のがんを発見出来る検査方法だけがありますが、これすらまだ当局(FDA)未承認で高額です。(記事内では900ドル超)
まだ不確定要素が多く、別の下記記事にも記載があるとおり、その信頼性の評価自体もまだこれからのようです。
簡単にこの血液検査の原理だけを書いておくと、血液に残存した免疫攻撃跡から辿るようです。このあたりの生命科学技術におけるブレークスルーに期待が集まっています。
今回の発表で初めて知ったのですが、2021年から着々とバイデン大統領は準備を進めていたようで、2022年早々にARPA-Hという組織を立ち上げて、こここが基礎研究を推し進めていくようです。
DARPAで合成生物学プロジェクトを率いていたDr. Renee Wegrzyn氏を初代の所長に任命しています。
がんは、日本では心疾患(心臓病など)を超えて死因1位です。
しかも、下記記事によると、先進国では日本のみ増加傾向にあるとのこと。ただ、これは超高齢化による因果関係もありそうなので、だから大きな問題がある、というのは早計です。
ただ、がんが依然として人類が克服すべき難病の1つであるのは間違いありません。
以前の投稿でも、T細胞という免疫(悪者を退治)機能を紹介しましたが、遺伝編集技術を使ってその攻撃力をさらに高めようとしています。
今回のバイデン氏のムーンショットも、ARPA-Hの初代所長が合成生物学の専門であったことから、遺伝子レベルでの合成・編集技術を使うことが予想されます。
アポロは11号で無事月に到着し、その後継のアルテミス計画も、日本など他国との協調の下で始動中です。
ぜひ今回の新ムーンショットも、米国にとどまらず世界中でのがん克服につながるような協調的な活動になることを願っています。
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