生命?機械?「スライム型ロボット」
ロボットは、特に日本では鉄腕アトムやドラえもんの影響もあり、何となく人型で人間と仲良しなイメージを持つ人が多いと思います。
その定義と聞くと、何となく機械で動くイメージを連想します。
そんなロボットの定義を揺るがす面白いものが開発されています。
ようは、
新陳代謝を行うロボットの開発に成功した、
という話です。
新陳代謝というのは、古い細胞が新しいものに置き換わることで、我々人類もある程度の期間が過ぎると細胞が全て置き換わっています。
こちらによると、部位によってことなり下記に引用しておきます。
胃腸の細胞は 約5日周期
肌の細胞は 約28日周期 ~1年
筋肉や肝臓などは 約2ヶ月間の周期 ~1年
骨の細胞は 約3ヶ月周期 ~1年
胃腸の細胞が1週間で丸っと入れ替わるのは衝撃です。。。
上記記事内にもエピソードの記載(生物学者福岡伸一さんが同じことを言っていた記憶が)がありますが、数年たつと「ある意味別人」という言い方は間違ってないかなと思います。
ちなみに、神経細胞などはほぼ生涯にわたって入れ替わらないそうです。
この生命特有に見える新陳代謝を備えたロボットを開発しました。
形状はゼリーのようなスライム上のもので、なんとDNA分子をレゴパーツと見立てて組み立てたそうです。
新陳代謝以前に、そもそもロボットが通常備えている下記の基本要素を実装しているだけでも素直にすごいです。繰り返しですがDNAから組み立てています。
・骨格や筐体などの構造を持つ
・見たり聞いたりするセンサーの機能
・情報を処理する(考える)プロセッサ(演算装置)相当の処理が可能
・動くためのアクチュエータ(駆動装置)相当の機能を持つ
この構造を持って動く機能は、DNAオリガミ(由来の説明は野暮ですね☺)という技法を駆使しており、過去にちらっとは紹介しました。
さらに今回の「新陳代謝」機能。言い換えれば「成長」することを意味し、見た目で言えば増え続けます。
これは、実はすっかりお馴染みになったPCR検査と原理は似ていて、増殖させる酵素(DNAポリメラーゼ)を使います。
若干ユニークなのが、人工的に制御できる幅を広げており、例えば材料補給さえすればガンガン増え続けるそうです。
そして、それを加工して流体デバイスに応用できるのではないか?という研究が行われているわけです。冒頭記事よりそのデバイス例を引用します。
更には、増殖の逆に「分解」することもできます。これで何となく新陳代謝のイメージに近づきました。
つまり、このスライムロボットは、自身のパーツを捨てて外部から新しく細胞化して動作することが出来るわけです。
記事内ではその動く様子も動画で紹介しておきます。(ここまで興味持った方はぜひ引用元を訪れてみてください)
これらは、ジャンルとしては「合成生物学」と言った方がいいかもしれません。また、冒頭のとおりこれはロボットの要素も備えているので、生物と機械の融合した存在です。
思い出したのは、以前に磁性体を混合させることで、固体と液体を自由に制御できる物質です。
これも、明示的な外部制御があるにせよ、見た目だけ見ると生物っぽくも見えます。(牢屋を脱出出来るので我々を超えてますが・・・)
今回の研究内容を知って、改めてそれぞれの定義から見直す時代に突入していると感じました。