宇宙の最後も多様性な時代
宇宙の最後はどうなると思いますか?
想像することすら難しいこの質問について、妄想を含まらせてくれる連載が現代ビジネスで行われています。
なかなか非日常的な用語が続くので、砕きながら書いていきます。
いきなりタイトルに「ビッグバウンス」とありますが、著者によれば、宇宙の終焉にはざっくり下記5つのタイプがあるようです。
1.ビッグクランチ:(今は膨張しているが)反転してつぶれる
2.熱的死:エネルギーを出し尽くして空虚な状態
3.ビッグリップ:膨張が進みちりぢりに引き裂かれる
4.真空崩壊:宇宙法則の安定性が崩れて万物が崩壊
5.ビッグバウンス:一旦縮んでまた広がる
無邪気な表現にとどめておきましたが、4はちょっと突拍子もなくて分かりにくいかもしれません。
これは宇宙の始まりが「真空のゆらぎ」であるという仮定でのシナリオです。過去の近い投稿を引用しておきます。
そのゆらぎから物質が創成され、今の宇宙法則を形作った種が仕込まれていきます。
そしてこのシナリオは、あたらしい「真空のゆらぎ(一度とは限りません)」で今の宇宙が崩れてしまう危険性を指しています。(これ以上は、ふーん、と髪をかき上げて流してください☺)
それで、冒頭紹介した連載記事では5についてふれているので、そこを砕いていきたいと思います。
まず、響きとしては個人的にとてもそそる(でもしゃべると噛んでしまう・・・)「エキピロティック宇宙論」は、れっきとした専門用語です。Wikiにも載っています。
Wikiにも連載記事にも「ブレーンワールド」という記載がありますが、我々には知覚し得ない高次元の膜をイメージした「時空モデル」の1つです。
以前に、シン・ウルトラマンの解説(?)で登場したので引用しておきます。
このブレーンワールドが2つの両手と思ってください。拍手の如く、ぶつかって離れてを繰り返していくというシナリオです。(念のため「バウンス」は、跳ね返り、という意味)
このシナリオを含めた「サイクリック宇宙モデル」というものが昔からあり、要は宇宙は何度でも再生します、ということです。
このモデルの最新研究では、今のところ有効な仮説と思われている「インフレーション」は必須ではないようです。
つまり、拍手のたとえを使うと、両手をぶつける間際にブレーンが収縮して平坦になるというメカニズムだそうです。(宇宙の平坦問題を意識した仮説)
ではその(ある意味都合の良い)収縮はどう起こるのか?
そこに「スカラー場」という概念が登場してくるわけですが、概念としてはインフレーションを生む素粒子と同じようなもの(インフラトンと呼称)が、このエキピロティック宇宙モデルにもあると思ってください。
そしてこの証拠をつかむものが、目下インフレーションの検証として期待されている「原始重力波」です。
これが見つかれば「インフレーション理論」が優勢、見つからなければ(ないと断定するのはほぼ不可能ですが)今回の新しい宇宙モデルのほうが筋が良い(理論上それは不要)と評価できます。
ちなみに、以前にも紹介したペンローズもこの「サイクリック宇宙仮説」を提唱しています。(下記では比較的知られている研究だけに絞ってますが、結構いろんなことやってます☺)
改めて、本書は刺激に満ちていて好奇心をくすぐることは間違いないので、宇宙に関心がある方にはお勧めします。