生命の起源:第二次エネルギー革命
前回、原始生命が細菌と古細菌に分岐する過程について触れました。
ようは、
エネルギー効率のよいポンプを2通り発明することで、ついに生命の故郷から旅立った、
というはなしです。
改めて生物を遺伝子基準に描かれた系統図を載せておきます。
今回は、古細菌から(我々含めて一番身近に見える)真核生物が誕生した第二次エネルギー革命についての仮説を紹介します。(前回同様参考リソースに基づく)
まず、真核生物の定義は「核を持っている生物」ですが、それ以外でも既存の生物と構造が異なります。
その違いをざっくりいえば「細胞サイズが大きくて複雑」な点にあります。
上の系統図をみると、古細菌が徐々に複雑化・巨大化して真核生物に進化した、と読み取るのが自然です。
が、その「中間生物」は未だに見つかっていません。よくサルがどうやって人類になったのかを辿るときに使われる「ミッシングリンク」状態でした。
さらに遺伝子解析の結果、初期の真核生物には細菌の遺伝子も幅広く含まれていることが判明します。
地球の年齢で出来事を書き下すと、こんな感じです。
5億歳:原始生命誕生(複雑な有機物が代謝・膜・自己複製の機能を持つ)
10億歳:原核生物の誕生(細菌と古細菌とに分岐)
25億歳:真核生物の誕生
※時間軸は諸説あり
果たしてこの空白の10億年で何があったのか?
1つのヒントとして、真核生物が一気に多様性を獲得した「カンブリア爆発」をとりあげます。(40億歳ぐらいの出来事)
その原因については諸説ありますが、
細菌の遺伝子が(真核)生物に取り込まれて目を獲得した、
という新説を以前に紹介しました。
同じように、
古細菌が細菌を取り込んで飛躍的な進化をとげたのではないか?
というのが比較的有力な仮説です。
なかなか大胆な説ですが、大きなきっかけは空白の10億年間で起こった天変地異です。
細菌が光合成という機能を獲得したことで地球上の酸素濃度が急上昇する「大酸化イベント」が起こります。
それまでの多くの生物は酸素以外の化合物でエネルギーを得ていました。その元素比率が変わると、エネルギーを獲得することが難しくなり絶滅の危機を迎えます。
そこで酸素を使えない生物がとったのが、
酸素を使えるニュータイプを取り込んで共生を図ろう
という大胆な戦略でした。
当時取り込んだ生物は今では「ミトコンドリア」と呼ばれ、真核細胞の1器官としてエネルギーを供給しています。(参考までに関連投稿を)
取り込む過程を分かりやすく説明した動画を見つけたので紹介します。
このミトコンドリアの先祖と共生することで取り扱えるエネルギーがぐんと増し、(外部環境に適応すべく)複雑な細胞内器官を創りあげていったのでしょう。
まさに第二次エネルギー革命にふさわしい生物の大転換となる出来事です。
<参考リソース>