アストロバイオロジー(宇宙生命学)の世界
インフレーションを唱えた科学者として世界的に著名な宇宙物理学者 佐藤勝彦氏が日経新聞にこんなコラムを投稿しています。
タイトルの「宇宙生命学」とは、Astrobiology(アストロバイオロジー)の和訳ですが、本文のとおり同名の組織が日本でも設立されました。
和訳別バージョンで「宇宙生物学」「宇宙生命科学」などと呼ばれることもありますが、今回は「宇宙生命学」に統一します。
元々はNASAが唱えた造語で、火星隕石から生命の痕跡を発見した出来事などがきっかけとなりました。勿論国内政治的な意図(予算獲得)もあったと推察されます。
アストロバイオロジーの歴史を分かりやすくまとめたサイトを見つけたので引用しておきます。
それで、佐藤氏の冒頭コラム内での新たな発見について触れておこうと思います。
記事内だけでは100%とは断定できませんが、下記のニュースをさしていると思います。
ハビタブルゾーンとは、水が存在して生命が生まれる可能性のある地域で、スーパーアースとは要は地球より少し大きさと近い成分を持つ太陽系外惑星と思って下さい。
太陽系外惑星の調査方法については過去に投稿したので引用しておきます。
今回の成果は2022年9月なのでつい最近の発表です。日本のアストロバイオロジーセンターも貢献した国際的な偉業と言ってもいいと思います。
さて、この太陽系外惑星について、まず我々の太陽に相当するのが「LP890-9」という赤色矮星です。
赤色矮星とは、自らが輝く恒星のうち比較的低温(や特定のスペクトルを持つ)なタイプで、今回は太陽と比較すると約1割ぐらいの大きさです。
赤色矮星で有名な構成を挙げると、最も近く(なんとたったの4光年!)、地球外生命体の期待もされている(可能性は今のところ低そうですが)プロキシマ・ケンタウリがあります。
こちらは2022年にも差分ニュースがはいってきており、注目の太陽系外惑星が見つかっています。
今回みつけた太陽系外惑星も、ハビタブルゾーンとしての可能性としてトップランクの期待が高まっています。
なかなか順位付けは難しいとは思いますが、今のところみつかったなかで期待されているのは、TRAPPIST-1(トラピスト)ではないかと思います。
NASAが当時珍しくHPで予告をして発表をし、その演出もあってか話題を呼んで想像が膨らみ、いくつか想像図・動画が製作されました。下記もそのときの1つです。
なお、タイトル画像も同じ背景で書かれた想像図です。(ESO/M. Kornmesser/N. Risinger (skysurvey.org) - http://www.eso.org/public/images/eso1615c/, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=48532943による)
実はTRAPIST-1と今回対象となったLP 890-9は、いずれも観測が始まったジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の対象にはいっているため、もしかしたら今後、より興味深い発見があるかもしれません。
宇宙生命学はまさにまだ発展途上段階にあるので、これからの成果がとても楽しみな分野です。