AIチップとロボット競争がヒートアップ
AI(人工知能)は話題に事欠きませんが、その縁の下の力持ちはコンピュータ処理速度です。
その演算処理コンテストがそれを表す尺度の1つですが、ついに2022年にそれがエクサスケール(100京)を突破したことは以前投稿しました。
上記の最後にも触れている通り、AI向けの評価はやや異なります。
そして、AI向け半導体Chipの商用化で一番といっていいほど市場を獲得しているのは、NVIDIAです。
ソフトバンクがChip設計のarmをここに売却しようとしたことでも話題になりました。(規制などの問題で断念したようです)
そもそも、NVIDIAのChipがAI分野で注目されたのは、ディープラーニングの成果が大きなところです。
超ざっくりいうと並列処理との相性が良い処理で、元々NVIDIAは画像処理用に提供していたGPU(Graphics Process Unit)が一気に花開いたわけです。
armは従来型のCPU設計市場を握っており、NVIDIAが両方獲得することによるメリットは大きいです。
このNVIDIAが行う最大規模のAIイベントがまもなく行われる予定です。
NVIDIAのライバルとして、AMD・Intelなどが挙げられますが、用途によっては新たに2社も取り上げる必要があります。
それが、AppleとTeslaです。
Appleは自社製チップ(半導体の呼称)を自社製品のために開発・利用しています。これも厳密にはまだ部分的にArm(以前はIntel)だったりしますが、自社の内製化を進めており、今後はどうなるかは分かりません。
もう1つの注目株が電気自動車製造・販売で有名なTeslaです。
Teslaの場合は、ある意味Appleより切実で、完全自動運転実現のためには画像処理が必要不可欠です。
今まではその心臓部のChipをNVIDIAから供給を受けていましたが、2021年のTesla AI Dayというイベントで、自社開発方針を発表しました。下記の日本語サマリサイトが参考になりました。
このD1チップですが、ある評価会社の試算によると、NVIDIAの同等機種を大きく凌駕し、2033年にはついに人間処理を超えるという記事も出ています。(参考)
ベンチマークはあくまで実験室で、それよりも気になるのはTeslaがそれをどこまで横展開するか、です。
何を言っているかというと、実はTeslaは今大きくロボティクスカンパニーに脱皮しようとしています。
それを表す象徴的な新商品が「アンドロイド」です。
発表自体は2021年のAI Dayイベントで行われましたが、Optimusと呼ばれる人型ロボットをまもなく発表する予定です。(遅くとも今年のAI Dayにあたる2022/9/30に)
EVの画像データ学習用に開発したD1チップを、このOptimusにも活用することが推測されています。
もう少し言えば、Teslaはロボットを活用したスマート工場による製造能力にも定評があり、作る・作られる工程でこういったAI学習は幅広く活用される可能性を秘めています。
話を発散させる意図はないですが、つい最近、同じくロボティクスカンパニーとしても事業を広げようとしているシャオミが、Optimusに酷似する人型ロボットを発表しました。
いずれにせよ、このようにロボティクスは改めて競争が過熱化しており、その性能に関わるのが今回のAI用チップです。
しばらくはこれら企業の動向がとても気になります。また大きな動きがあれば取り上げてみたいと思います。
※タイトル画像クレジット:Tesla(AI Day2021イベント時の写真)