認知症で変化する遺伝子が特定される
今後日本をはじめ超高齢化社会が押し寄せると、間違いなく共通課題になるのは「認知症対策」です。
とくに「アルツハイマー」病については、昔から今でも様々な取り組みが行われています。
なかでも、その仮説で有名なものは「アミロイドベータ仮説」といわれるもので、いまだに論争は続いています。過去記事を紹介しておきます。
ようは、下記のステップがアルツハイマー病だ、という仮説です。
1.アミロイド前駆体タンパク遺伝子(APP)発現
2.アミロイドβタンパク(Aβ)生成
3.2が凝集されてAβオリゴマー生成
4.3が脳内タンパク質「タウ」をリン酸化
5.4によって神経細胞が傷つけられて死滅
上記の進行をどこかで防ぐべく、いろんな組織が新薬開発に動いており、日本で話題なのはエーザイの「レカネマブ」で、ついに2023/8に米国で正式承認される運びとなりました。
なんとなく誇らしくなる素晴らしい偉業だと思います。
この新薬では、上記進行ステップのうち2のアミロイドβを取り除く効果が認められたようです。
そんな中、(アルツハイマー含む)認知症の遺伝子相関から原因を突き止めようという興味深い成果がイギリスの研究グループが発表しています。
ようは、
認知力低下の原因となる分子レベルでの変化を調べると、神経組織の1種である「白質」が顕著だった、
という話です。
実験方法は、様々な年齢のマウス59匹の脳内サンプリングをし、82か所の変化個所を検知、そこから絞っていくと「白質」がその値が最も多かった、というイメージです。
「白質」は知らなかったので、1つだけ紹介サイトを引用しておきます。
今回の研究紹介記事によると、従来は認知力低下の当たり付けとして、記憶を司る海馬などニューロンが密集している領域がフォーカスされており、「白質」はあまりスポットライトを浴びなかったようです。
まだ原因と呼ぶまでには至りませんが、「白質」は脳のさまざまな領域を接続する配線であることは分かっているようです。
さらには、認知症低下だけでなく神経変性疾患の研究にも貢献が期待されており、遺伝子アプローチの新しい兆しが見えてきたかもしれません。
新薬だけでなく、多様な登山方法で人類共通の難病という山を攻略する日が近づいているのかもしれません。