老化の解明と社会とのかかわりあい
老化を抑える研究はもはやオカルトではなく正当な科学としてみられるようになりました。
つい最近京大がこんな研究成果を発表しています。
ようは、
マウスを用いて、皮膚の老化が体表血管減少による硬化によるものであることを明らかにした、
という話です。
細胞は、幹細胞とよばれる文字通り幹から分化して手・足・皮膚といった各機能の役割を帯び、ある程度の回数分裂してその一生を終えます。
人間はだいたいですがその回数が50回ぐらいといわれています。
皮膚は、美容だけでなく安全面でも我々を守る防波堤ともいえるかもしれません。結構新陳代謝は激しく、表皮細胞として生まれて垢(死んだ細胞)としてはがれるまでの期間はほんの1か月ぐらいだそうです。参考にしたサイトを紹介しておきます。
今回の研究は、そもそも皮膚の「老化」の仕組みにメスを入れています。
結論は、血管減少に伴うものが相関があったということです。
もっと掘り下げると、その血管流入抑止をもたらす遺伝子まである程度同定することにも成功し、実際その遺伝子を改変したマウスでは、欠陥流入率が高まり、結果として加齢硬化を抑えています。
先ほど、生物種によって細胞分裂の回数が決まっていると書きましたが、それはDNAの損傷が影響しているとみられています。
言い方を変えると、分裂を繰り返すとDNA損傷の確率(砕いていうとコピペミス)が高まり異常な細胞が増殖します。いわゆるガン細胞です。(ガンは異常細胞が増殖して死なない病気)
そのために、ある程度の分裂を経ると老化という行為で停止し、生物は死を迎えるわけです。
ちょうどそれに関係する専門家のコラムが掲載されていましたので紹介しておきます。
俯瞰的または客観的にみると、「死」というのは、健康なDNAをつないでいく(または多様性を確保する)ためには、ある意味必要な行為だということです。これはある意味、論理的で納得性が高いです。
気になったのは、一般的に他の生物には人間のような長い老化の期間はなく、ほとんどの場合、生殖可能期間が終わると寿命が尽きて死んでしまう、
というくだりです。
つまり、我々が常識的に使う「老後」というのは、生物学上結構まれなことのようです。
老後が生まれた面白い仮説として、人間は他の生物より子育て期間が長いからおばあちゃん(もちろんおじいちゃんでも)が必要だ、というものもあるそうです。なんとなくほっこりします☺
もう少し敷衍させると、家族という社会機能が発達したがゆえに、老後というレアな期間が生まれ、人類がここまで繁栄したのかもしれません。
一方で、解明されつつある老化現象を今回の研究成果のようにDNAレベルで制御できるようになると、長寿化する可能性は高まりそうです。(しばらくは富裕層からになるでしょうが)
仮に上記のおばあちゃん仮説を受け入れると、老後(生殖器官を終えて老化現象が始まる時期)の持つ意味合いは、子育てだけでない新しい意味をつくる必要が出てきそうです。
第二またはそれ以上の人生を指南する書としてLIFE SHIFT(ライフシフト)が一時期話題になりましたが、まさにそれを象徴していると思います。
個人的には、まずは科学のチャレンジとして、老化現象をどこまで解明して克服できるのか、老後も時間をかけたいと思っています☺