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宇宙は繰り返す!? サイクリック宇宙論を支持する証拠

宇宙は、「インフレーション」と呼ばれる初期膨張から始まったというのが定説です。

ただ、定説も厳格には1つの仮説で、他にも宇宙は膨張と収縮を繰り返すという一見トンデモ説も存在します。

その流派を総称して「サイクリック宇宙論」と呼ばれます。

そもそもこの説が登場した背景には、定説でまだ説明しきれてない最大の謎「ダークエネルギー」「ダークマター」があります。

前者は現時点でも宇宙全体の加速膨張を引き起こす反重力の性質を持つエネルギーで、後者は現在の銀河・星を形成する謎の引力です。詳細は過去投稿に委ねます。

ダークマターは(過去投稿にあるとおり)いくつか候補が提唱されていますが、ダークエネルギーは有力な候補すらありません。

サイクリック宇宙論(のなかで比較的良く知られた説)によれば、ある程度理屈は説明できます。

まず、初回の宇宙は極小であり、ある意味ブラックホール(内部の特異点)と似た状態です。この状態では、ビッグクランチと呼ばれる収縮による死を迎えてしまいます。

この物理現象を説明するには、一般相対性理論と量子力学を融合した量子重力理論が必要で、そこからエントロピーが保存されると考えられています。(あくまで1つの野心的な仮説です)

その保存されたエントロピーが、次の宇宙のインフレーションを引き起こすエネルギーとなり、次のサイクル宇宙が膨張をはじめます。

そして膨張が進むとどこかで別の宇宙(このモデルではマルチバースも組み込まれることが多い)と衝突し、再び収縮期に移行してビッグクランチに到達し、冒頭の現象に立ち戻るわけです。

長々と書きましたが、なんとこの傍流の説を支持する研究成果が今年になって発表されています。

ようは、
今の宇宙で謎とされるダークマターは、1つ前の宇宙で起こったビッグクランチから膨張に切り替えるときに形成されたブラックホール(と同じ構造)ではないか?
というはなしです。

もしこの仮説が正しいとすると、2つのダークミステリーを一挙に解決できるかもしれません。

この宇宙初期に出来たブラックホールもどきは、ちゃんとした名前もついており「原始ブラックホール」と呼ばれます。

元々は車いすの天才ホーキングが理論的に提唱しており、過去にもダークマター候補として紹介しています。

今のところ観測データとは整合していると主張しています。

ただ、自然科学のため検証が必要です。

残念ながら従来の光と電波を使った観測では、このような宇宙初期の情報を取得することはできません。(早くとも宇宙誕生後30万年以降)

それより古い過去を覗く手段として、重力波を使った方法が期待されています。元記事ではLISA(レーザー干渉計宇宙アンテナ)とアインシュタイン望遠鏡を例示しており(過去記事も貼っておきます)、将来的には検証が可能になりそうです。

どちらかと言えば陽の目を浴びなかったサイクリック宇宙論ですが、ついに注目されるサイクルに来たのかもしれません。

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