光合成の瞬間を垣間見ることに成功!
植物が太陽の光を浴びて酸素(+糖)を作り出す「光合成」。
あまりにも日常的すぎて研究することはない、と思っている方は多いと思います。
が、実は要所要所の結果は分かっているのですが、果たしてその過程でどのような動きをしているのかは謎に包まれていました。
過去にもそれについて触れたので載せておきます。
そしてつい先日、この光合成の見えないベールが明かされたとの発表がありました。
補足的に何がすごいのかを解説します。
光合成は大きく分けて2つのプロセスからなります。
Step1:光(太陽)からのエネルギーと水を、葉緑素内で酸素と水素(イオン化)に分解し、後者が化学エネルギー(ATP)などを作る工場へ輸送されて作業を指示します。
Step2:ATPなどと水・二酸化炭素が反応して糖など有機化合物を生成します。(しかも何度も類似工程を繰り返して完成品を出荷)
今回はこのStep2の過程を明らかにした、というわけです。
謎というのは、この水が分解されて酸素を作る過程です。まさに灯台元くらし、ですね。
今回の主役は、この触媒となるタンパク質で、過去投稿にも載せたの3次元イメージを載せておきます。
この黄色で表現されたCa(カルシウム)に水分子がぶつかるのがスタート。
5000分の1秒後:水分子が消えて酸素原子が出現
上記の200分の1秒後:酸素原子が椅子の内側に移動
という動きを観察することに成功しました。
しかも上記の流れのあいだ、この反応を支えるかの如く、上記の椅子全体が柔軟に変形しているとのことです。
ただ、酸素がこの椅子に取り込まれるまでの過程なので、それが外に放出される後工程はまだ厳格にはわかっていません。
それがまさに今後の研究テーマで、それが出来ると本当の意味で光合成のプロセス全容解明となります。
もしかしたら、
「で、それがどうしたの?結果分かってるんだし意味なくね?」
と思う方もいるかもしれません。あくまで自己満足の研究だと。
が、むしろ逆で、過程が原子レベルで分かるということは、
「それを再現する可能性が一気に高まります」
つまり、人工的に光合成と同じことを実現できる人工光合成への道が開けるわけです。
その応用は相当多岐に渡りますが、分かりやすいのは今の太陽電池(原理は類似)の性能を高められる可能性があります。
あとはラストワンマイルと呼ぶには重たい課題ですが、ぜひとも完走を期待したいと思います。