モアイ像とイースター島の再発見:環境破壊説を塗り替えた真実
イースター島のモアイは、誰もが知る謎の古代遺跡ですね。数百もの巨大な人面岩は世界中の人に知られています。
昔は地球外生物を表現したものというトンデモ説も出回っていましたが、今は先祖をあがめるオブジェ説が有効です。余談ですが、目が入ったレアなモアイ像は2体しかなく、そのうち1つは日本の宮城県に寄贈されています。なかなかハートフルなので紹介記事を載せておきます。
従来から、あの巨岩をどのように運んだのかも謎の1つで、そのトンデモ説(宇宙人の力を借りた)を助長させていましたが、なんと「歩かせる」ことを証明してある程度落着しました。見たことがない方はこの検証動画をご覧ください。
もともとイースター島に住み着いたのは、800年ごろにポリネシア諸島から渡航したのが先住民の先祖と考えられています。
そこからヨーロッパ人が大航海時代時代の18世紀初頭に発見し、当時の人口は1500-3000人でした。
それが19世紀後半には、110人にまで減少しています。
この先住民の人口減少について、従来は「エコサイド説」が広く信じられていました。つまり、島の森林伐採や過剰な資源利用によって、食料不足や社会崩壊が起こり、最終的に人口が激減したとされていました。
この説が広まるのに影響を与えたのが、和訳もされたジャレド ダイアモンド(「銃・病原菌・鉄」の著者として有名)「文明崩壊」(第二章がイースター島での先住民衰退の仮説)です。
ところが、最新のDNA解析研究によってこの環境破壊説が否定されつつあります。
この研究では、イースター島の古代住民の遺伝子を解析し、急激な人口減少の証拠が見られないことを証明しました。
むしろ、島民は自然環境に持続可能な形で適応し、安定した人口を維持していたと推測されています。
関連でもう1つ、最新DNA解析で従来と異なる事実がわかりました。
もともとヨーロッパ人が来るまでは、孤立した状態と考えられていましたが、14世紀から南米の先住民と交流していたこともDNAから判明しました。
これらの発見により、イースター島の歴史の再評価が進んでいます。島民の絶滅を単に自然破壊の結果と見るのではなく、彼らがいかにして困難な環境に適応し続けたのか、また他文化との接触をどのように持っていたのかを考慮することが求められています。
こうした新たな視点は、単なる環境問題としての島の歴史を超え、より複雑で持続可能な社会構築の可能性を示すものです。
よく、従来の自然破壊説からイースター島は地球の末路に見立てる話を聞いたことがあります。あまり短絡的に考えずに複雑な社会を複雑なまま受け入れる姿勢も大事と痛感したニュースでした。