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《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.41

課題5:気軽に、楽しく、
     カウンセリングを受けたくなるコピー
 ・誰にも言えない誰かに言いたいこと

すごいハードルが聳え立ったように思えた。この課題、医療行為を広告するわけです。生死にも関わる医療行為。これをコピーで訴求することを公募してしまうとは。しずおかコピー大賞は、大胆に踏み込んだものです。

この課題のファイナリストを考察する前に、医療広告について基本的な事項を知っておくと良さそうです。以下のリンクを確認して、課題を俯瞰してみましょう。

出典:医療ビジネスブレイクスルー
医療法6条の5Ⅰが示す、広告可能な13大アイテム
Ⅰ.医療広告規制
https://www.yakujihou.com/med/kisei/kisei-2/

医療を広告するコピーライティングにおいては、
1)優良誤認をさせるような表現
2)客観的事実を証明できる表現
ということが、コピーライティング上の注意点になりそうです。

他との比較やメリットを謳うこと、情緒的な誘導による曖昧な表現を含むコピーは、厳格に言えばNGになるのでしょう。実際に使われている医療関係の広告で、このような表現が含まれていないのは、法的な規制があるからだと理解できる。だが、今回はコンテスト。実際の広告として採用するために書くわけではないため、医療に関する法的な問題は横に置いといて、心や人を動かす表現の巧さでファイナリストは選ばれている。

私がこれから書き記す評価においても、「医療広告に関わる法的な問題は排除した上で、」という定義において批評させていただきます。

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心の中で澱のようにこびりつき、常に気にかかっている問題。誰にでもあるようで、誰かにしかないような重さを感じる。

コピーとして良いのか? と言われれば、コピーの体はなしていても、「、」「。」を使わない文に、読み難さと頼りない幼さを感じる。頼りなさはこのコトバの主(受け手)の心境そのものかもしれないが、計算されたようには読めない文が、幼さに繋がっているではないかと思う。

だがしかし、しっかりと芯を打った表現は、カウンセリングという拠り所を気づかせることには成功しているように思う。あと「こと」で片付けている内容は何なのか? 語尾の単語に入賞の分かれ目があるように読める。

例えば、借金の事情も誰にも言えないし、誰かに言いたいことではある。だが、借金のことをカウンセラーに相談しても仕方がなく、銀行や親類・知人に思いきて相談することで答えは導かれるはずだ。

「こと」という解釈の幅が広く書き手に都合のよい単語は、反面、曖昧な使役に留まる。だからこそ、じぶんがわからない答えを受け手に丸投げするような、幼く甘い選択に逃げるのではなく、最後までモノゴトに向き合い答えを出す努力が必要になる。

救いを実現する表現

医療が救済であるならば、医療に関わるコピーはそれ自体が治療や人助けの類でなくてはいけないと思う。ゆえに書き手によって発せられるコトバに潜む情緒は、救いであるべきだ。だが、救いを表現することは、生半可ではできないと予想もできる。

応募した方々は、コンテストでそこまでのレベルを突きつけられていたとは思いもよらなかったと思います。救いを実現するためにも、書き手の揺るがない心構えが試された課題だったのだと、私も今更ながら驚いています。

本コピーはファイナリスト止まり。これは頷けます。後に出てくる本課題のコピーには、受賞作品がいくつもあります。どのような違いがあるのか、ドキドキしながら次回に続きたいと思います。


※コピーの版権・著作権等の使用に関する権利は、静岡コピーライターズクラブに帰属します。
https://shizuokacc.com/award/


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