カンバン22

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.22

課題3:社会貢献したくなるコピー
 ・小さなヒーローが増えれば、
 スーパーヒーローはいらなくなる。

嫌いじゃないです。こういうコピー。

やっぱり、若い方が書いたコピーだった。でも、意外にも作者は女の子。ジェンダーの差別的に聞こえてしまうかもと思いながらも、中高年が持っている記憶から浮かぶのは、男の子。夕方にやっていた少年時代のヒーロー物番組と、なりきり度がハンパないヒーロー遊び。怪人役のときは、相当テンション低くなったな〜。(笑)

月光仮面のマントとサングラス、ライダーベルト、ゴレンジャーストーム。あげればきりがないのだけれど、どれも男の子の遊びだった。

だが、現代は違う。女の子のヒーロー物がいくつもある。ヒロインとは言わず、あえてのヒーロー。「女の子でも暴れたい」たくましく、凛々しい女子達は、悪を浄化しながら、世界(もう、宇宙的規模の世界を)の平和のために戦っている。

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小さなヒーローは子どもかな? と思ったけど、二行目を読むと小さい世界ということのように読み取れる。小さなコミュニティにおけるヒーローだ。

一人、二人じゃ力は弱い。でも、コミュニティ単位で増えていけば! チリも積もれば山となるように、大きな力を産む可能性を秘めている。さらに、横の繋がりを持ち、シナジーを発揮するようになれば、多くの社会問題に対応する力も備わるだろう。すなわち、総合力だ。

スーパーヒーローは孤独と相場は決まっていて、孤軍奮闘することが前提にある。つまりは、一人。あらゆる問題を解決できたとしても、一度に複数の場所に赴くことはできない。一人では物理的に手が出ない案件も多いだろう。あと、力の差がありすぎても解決できないこともあるだろう。町内のゴミ拾いや犬の散歩をウルトラマンに頼んでも、身長40メートル・体重35,000トンのウルトラマンの真価は発揮されない。適材適所。この考えも重要だ。

※ウルトラマンの身長・体重
出典:ウルトラマン列伝 登場ヒーローより

結果から考えると、『いらなくなる』とまでは言い難い。スーパーヒーローが居てくれることに越したことはない。だが、そう思えるほどの頼り甲斐と解決力を期待したくなるユニークな言い回しだ。

読後も軽やかだ。目の前にある重く険しい問題も、パッと飛び越えて行ってしまいそうだ。賞には至らなくとも、見た人の微笑みは獲得できているんじゃないかと思うのだが。

コピー云々よりも、この作者に期待したい。発想や書き方の技術は、まさにこれからだと思います。来年は、このアイデアを超えるコピーを、ぜひ審査員の私たちに突きつけて、私たちの思考を軽々と飛び越していってほしい。そういう応募を楽しみに待っています!


※作品(コピー)の版権・著作権等の使用に関する権利は、静岡コピーライターズクラブに帰属します。
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