広報で「悪評」を防げ!
大手マンションメーカー広報15年、地方の小さなPR会社経営16年のPRプランナーが中小企業の広報PRに役立つ情報を発信しています。
■地方・中小企業最大のリスクは「働き手不足」
企業が管理しなければならないリスクは災害、事故、不祥事、システムダウンなど多岐にわたりますが、地方の中小規模の企業に限っていえば、「働き手不足」が最大のリスクと言える場合が多いように思います。
企業規模を問わず「人は宝」ですが、地方の中小企業ではなおさら、今いる従業員に長く働いてもらい、求人に応募してくれる人を増やさなくては、将来が見えませんよね。
■「悪いウワサ」は広がりやすく消えにくい
「働き手不足」を招く一因に、「悪評」があります。
地方都市では大都市圏と比べて、悪いウワサ、悪評が広がりやすいんです。
中小規模の企業でも、経営者や従業員の家族、親戚、知人、取引先などを含めると相当数の関係人口が存在します。なので、その都市に住む人同士は大抵、「知り合いの知り合い」程度の間柄でつながっていたりするわけです。それほど密なコミュニティの中で、社員や退社した元従業員が、仲間内や酒の席などで会社の悪口を言えば、格好の噂のタネになりがちです。
表向きの業績は良くても、「給料が低い、休みが取れない、残業代が出ない、パワハラ社長、脱税や違法行為がある」などという悪評が立てば、人の関心はそちらに向いてしまいます。
地元で知名度が高い企業ほど、悪い噂が口伝で広がりやすいのです。
そして、大都市圏なら時と共に薄まっていく悪いイメージが、時間が経っても色濃く残るのが地方。会社のマイナス情報が口伝やSNSで暴露され拡散されるケースも、多くはないでしょうがそのリスクも考慮しておかなければなりません。
■エンゲージメント醸成と広報活動
自社の悪評が巡り巡って、求職者や新卒学生の知るところとなれば、真っ先に就職候補先から脱落してしまいます。ただでさえ人手不足なのに「泣きっ面に蜂」ですよね。
こうした事態を防ぐには、ひとつは今いる従業員の「エンゲージメント」を高めていくこと。もうひとつは、広報活動に注力することです。
エンゲージメントは「従業員満足」とは少し異なり、会社の現状に必ずしも満足ではないけれど「将来はきっと良くなる」と信じられる根拠があって、「愛着」や「思い入れ」が強い状態をいいます。
経営者と従業員一人一人が会社に愛着を持ち、お互いが信頼し、成長し合う関係性ができていれば、たとえ今、苦境にあっても明るい将来像を描くことができるものです。
■日々感謝を伝え、真剣な姿を見せる
中小企業において従業員のエンゲージメントを高めるには、まずは経営者が従業員個々に気を配り、日々感謝を伝えるのが重要です。
そして現状を冷静に分析したうえで夢を語り、おごらず愚直に、真剣に取り組んでいる姿勢を見せ続けることです。
■社内と地域へ、前向きな広報を
そのうえで、社内と地域社会に向けて、前向きな広報活動に取り組んでいくべきです。広報活動は自社商品の販促目的のためだけに行うものではありません。社会に対して貢献する意志と未来への前向きなメッセージを発信し続けることです。
自社の夢や理念、独自の強み、新しい製品や技術の開発ストーリー、社内制度の改革、社会貢献活動などを積極的に発信することで、社会から自社への愛着と共感、ソーシャル・エンゲージメントを獲得するわけです。
そうして、従業員と地域社会の双方から信頼され愛着を持ってもらえば、不慮の事故や製品の不具合などの危機が起きた際も、悪い噂が広がることなく、ダメージを最小限に抑えられる可能性が高まるでしょう。
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