未来に確実に訪れる「今」に備える
マンションメーカーで広報担当15年、PR会社経営16年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。
1.「今でしょ!」のパワー、健在
東進ハイスクールCMの林修さんの「今でしょ!」が流行語大賞になったのは2013年です。同年はこのほか「じぇじぇじぇ」「倍返しだ!」「お・も・て・な・し」と、史上最多の4語が流行語大賞を受賞しました。
あれから約8年。半沢直樹の「倍返し」さえももう耳にしなくなった一方で、「林修の今でしょ!講座」は今でも、テレビ朝日系ゴールデンタイムの看板長寿番組として続いています。「今でしょ!」は流行語を超えて、私たちの耳に馴染んだと言えますね。
なぜ、テレビというメディアの中で「今でしょ!」という言葉がこれほど長く生き続けているのでしょうか?それは、マスメディア、特にテレビの制作者が皆、「今」という言葉を殊の外(ことのほか)、大事にしているからです。
2.マスメディア自身に問われる「今」の立ち位置
関西のテレビ局が定めている、制作者向けの「番組制作ガイドライン」には、「今」についてこのように書かれています。
テレビからは番組が市民の日常生活の「今」に次々と送り込まれています。だからこそ、テレビ番組を企画、制作していくときには常に(中略)私たちを取り巻く環境の「今」、すなわち社会問題、世間の風潮、時代の趨勢、メディアの現在に常に目配りしておかなければなりません。(中略)「今」を敏感に感じ取り、冷静に分析し、「今なぜこの企画を出すのか、この番組を作るのか」という問いへの答えを常に持っていなければなりません。まさに企画者(もしくは制作者)自身の「今」の立ち位置を問われているといっても過言ではありません。
テレビでは、報道番組であれ情報・バラエティ番組であれ、ドラマであれ、制作者は常に「なぜ今、○○○○なのか」を自問自答しながら企画し、制作を進めているんですね。
3.広報は、「今」の重みを理解しよう
「今」は「賞味期限」という言葉にも置き換えられます。スーパーマーケットなら、賞味期限を過ぎた商品も値下げすれば在庫処分できます。しかし、テレビの枠は限られていて、(報道番組は再放送ができないので)格安で販売するスペースがありません。ですから、「賞味期限」を過ぎた話題や情報は、持ち越しはなくすべて即日廃棄処分されます。
企業の広報として、自社の情報をマスメディアで紹介してもらいたいと考えたとき、制作者たちの心に宿る「いま」の重みを理解しなくてはなりません。
つまり、新商品やイベントのプレスリリースを提供するときも「なぜ今、この情報が視聴者にとって必要なのか」を明確に示してあげること。そしてべストタイミングに放送が間に合うように配慮することで、制作者は安心してそのネタを取材し、番組内で取り上げることができます。
「○○月○○日に商品を発売するので、その直前に番組で紹介してほしい」などと企業側の都合だけでネタを流しても、テレビが求める「今取り上げるべき旬の情報」でなければ見向きもされないんですね。
4.広報は、未来に確実に来る「今」を予測して準備せよ
そんな、旬の情報をタイムリーにメディアに届けるには、企業の活動が世の中の一歩先を見据えて、一般のニュースよりも前倒しで行われていなければなりません。
今後メディアが取り上げられるであろう「観客のいないオリンピック」も「GO TOキャンペーン再開」も「男女共同参画の進展」も「閑散とする桜の名所」も、すでに予測できていて、その時には必ず関連する話題がニュースとして流れるのは確実なんです。
これから先、何がニュースになるのか。自社の商品・サービスをそれらの話題に関連付けることはできないか。企業は、未来に確実に訪れる「今」に備えて、商品企画や話題作りを考える必要があるんですね。
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