広報とは、タネを蒔くこと
マンションメーカー広報担当15年、PR会社経営16年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。
1.植物が生き残る知恵に学ぶ
立春は過ぎましたがまだまだ寒い日が続いています。春が待ち遠しいですね。
春は草木が芽吹く季節―――。というわけで、名もない中小企業がこれから芽を出し、花開き、実を結ぶためにはどうしたらよいのかを、考えます。
植物は自らの種(しゅ)を保存し増やすために、葉をつけ、花を咲かせ、タネをつくります。自分の生えている場所から一歩も動けない野生植物は、より広いエリアに自分のタネを拡散させ勢力を広げていくために、タネをその場所から他の場所へと運ぶ(あるいは運んでもらう)いろんな工夫を施します。
タンポポは綿のような羽のついたタネをつけ、春風に乗せて遠くの土の上に落ちるようにしています。
ある草はトゲ状の実を付け、動物の毛や衣服にくっつくことで別の場所で払い落とされ、そこで新しい芽を出そうとします。
ある木は赤い実を付け、鳥が実を食べてそのまま飛び立ち、見知らぬ土地でフンと一緒に吐き出されることで、新天地で芽吹く日を待ちます。
2.商圏拡大にはタネを乗せて運んでくれるものが必要
一方、企業の場合。ごく限られた狭いエリアを商圏とする個人商店であれば、商品やサービスというタネを撒くのは自分の足元だけで良いでしょう。しかし、県をまたいだ市場や、西日本や東日本、全国、そして世界まで事業を広げ商圏を拡大しようとすれば、自分の足元にタネを落とすだけでは、生き残っていくのに必要十分な繁殖が期待できません。
そこで風や、犬や、鳥のような、タネを媒介してくれる第三者が必要になります。企業にとって、より遠くの場所まで自分のタネを乗せて運ぶことができるもの、それがメディア、つまりマス媒体やWeb媒体、SNSといったものです。
ニュースの題材を「ネタ」や「タネ」と言いますが、メディアのニュースにはそのまま企業の「タネ」が載っているワケですね。
3.PRの役割は情報を届けたい場所に届けること
そして、PRの役目は、自社のタネ(商品やサービス=シーズ)をいかに確実に媒介してもらい、届けたい場所(潜在ニーズやウォンツのある新しいマーケット)へ落としてもらうかを考え、工夫することだといえます。
これまでの中小企業はただ口コミや営業力を強化することで新規マーケットへのアプローチを図ってきましたが、これは非効率と言うしかありません。
PRのスキルを身につけてマスコミの協力を得、さらにSNSやデジタル技術を駆使することができれば、情報の伝播速度、つまりタネの拡散速度は限りなく速くなり、拡散範囲は無限に広がります。
商売の成功の秘訣のひとつが「新しいタネを撒き続けること」です。ぜひともこの、植物が繁殖するメカニズムを頭に入れて、自社のタネを拡散させるために工夫を凝らしていただきたいと思います。
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