:妄想歳時記:アッチャコッチャの天王寺詣り
暑さ寒さも彼岸まで。
上方落語「天王寺詣り」では
お彼岸に、黒犬の供養のついでに親の供養もする
アッチャコッチャの男が出てくる。
善男善女で溢れかえるこの時期。
調子よくしゃべる落語を観光案内にして、
今も残る風景を手がかりに、
四天王寺さんでタイムスリップ。
昼と夜の長さが同じになる春分、秋分は、
真西に当たる西門石島居の真ん中に太陽は沈む。
はるか昔、人々はきれいな夕陽に手を合わせ、
西門の彼方に浄上をイメージしていた。
そして浄上側の東門を、その西門とみなした。
そこは祖先が往った過去なのか、これから往く未来なのか。
それとも今と地続きなのか、
分からないから立ち止まっては、
アッチャコッチャの思いで満たされる。
どっちみち、いい時候になったから、
しばらく此岸で、アッチコッチをウロウロ迷う。
暑さ寒さも彼岸までというが、今年ははまだ寒い。ただ日の出、日の入りはゆったりしてきた。もう少しで暖かくなり、すぐに暑いという季節が来る。暑いの寒いのと文句を言いながらでも、ウロウロできることを楽しもうと思う。
天王寺詣りは、単純なストーリーはであるが、彼岸の四天王寺境内のにぎわいをスケッチした落語で、旅行気分が味わえる。