#7「日記がくれた強さ」
心の支えを見つけたい一心で、自己啓発本を4冊、5冊と買い込み、ノートも用意した。
そして、そこに書かれていたワークを、まさに「藁をもつかむ」気持ちで片っ端から試していった。好きなことや嫌いなこと、動詞にフォーカスしてみたり、昔やっていたことや今自分の周りにあることをリストアップしたり。
その中で最も効果を感じたのが、日記を書くというワークだった。
長文の日記ではない。「今日はこんな気持ち」「今日はこんなことがあった」「こんなことをした」という風に、主に自分の感情や出来事をそのまま書き留めていった。もちろん長くなることもあったし、綺麗ごとばかりではなかった。
でも、自分だけが読むものだからこそ、書き出すことで気持ちが整理され、ほんの少し心が軽くなるような感覚があった。
そこから2年間、私は日記を書き続けた。
最初は毎日欠かさず書いていたが、書けない日は無理をせず「書かなくてもOK」というスタイルにした。自分だけのものなので、自分のペースで好きなように書くことが心地よく、長続きしたのかもしれない。そして、続けるうちに、「この気持ちが湧くのはいつもこの時期だ」「この気持ちは1週間もすればまた落ち着く」など、自分の心の動きが少しずつ見えるようになってきた。
苦しい気持ちを支えられるのは、過去の自分自身なのだと気づいた時、私は日記の力に心から感謝した。
また、ある日、保育園での経験から、新たな学びのきっかけが訪れた。
園児たちに「靴を揃えておいてね」と声をかけていた時、1人の子どもが「なんで靴を揃えるの?」と聞いてきた。ありきたりな理由ではなく、彼女はもっと根本的な理由を知りたかったのかもしれないと感じ、どう伝えれば良いか悩んだ私は「キッズマナー講師」の資格を取得することにした。
キッズマナー講師の学びは、保育だけでなく、私生活にも生かせるものだった。清潔や清潔感の違いなど、子どものうちから身につけられる習慣の大切さは、大人になっても役に立つものだと感じた。
余談だが、私はこの経験で大人になってからお金を払って学ぶことの楽しさを知った。
そしてある日、自分の子どもの幼稚園での懇談会で、担任の先生との帰り際に交わした会話が、私にとって大切な出来事となった──。
続く。