【シナリオ】ダンス部引退ステージ、舞台裏で思いを馳せた話。
○ダンス部引退ステージ 舞台袖
ステージの上では、栞たちの後輩の2年生がナンバーを披露している。
それを眺めている、凪、琴。
琴「…クオリティ、高くない?」
凪「わかる。本当にわかる。てかみんな可愛い。上手い以前に、みんな可愛い。」
琴「凪ちゃん、オタク出てる。」
凪「いやだって!…うちらが2年生の頃、こんなに出来なかったよ。」
琴「ハチャメチャだったよね(笑)」
凪「それが良かったんだけどね(笑)」
琴「うん。」
琴「戻りたいって思う?」
凪「2年の時?」
琴「うん。」
凪「うんー、まぁ。そうだね。もっとこの時が続いたらいいのになってのは、ずっと思ってるから。就活から逃げたいし。」
琴「あー。」
凪「でも、戻るならみんなで戻りたいな。同期の皆で。ひとりじゃ嫌かな。」
琴「…私も。同期がこの4人で良かったって思ってる。」
凪「楽しかったよね。」
琴「うん。」
琴「…泣いてる?」
凪「まだ泣いてない!!」
琴「あはは。いつ泣くかなー。」
凪「泣かないもん!!」
琴「はいはい。」
凪「私ね、初めての居場所だったんだ。このサークル。」
琴「うん。」
凪「初めて、仲間って呼べる人達が出来たんだ。」
琴「…私も?」
凪「当たり前じゃん。」
琴「よかった。…私もそう思ってるよ。」
凪「えへへ、よかった。」
琴「臭いよ、凪ちゃん。」
凪「え!?!?」
凪、身体の匂いを嗅ぐ。
琴「言葉が!」
凪「…あー。」
琴「あはは。」
琴「…私ね、ダンス嫌いだったんだ。」
凪「え!?!?」
琴「実はね。」
凪「そうだったんだ。」
琴「うん。けど、この場所が、好きにしてくれたんだ。下手でも、形が汚くても、笑顔で楽しめればいいって、教えてくれたから。」
凪「私、こっちゃんのダンス好きだよ。」
琴「…ほんと?」
凪「こっちゃんは、キラキラしてるんだ。」
琴「…」
琴、目が潤む。
琴「本当に嬉しい。…私も凪ちゃんのダンス好き。」
凪「え!」
琴「凪ちゃんは、本当に努力家だなって思う。」
凪「…すき!!」
琴「私も好き!!」
栞「俺はー?」
真後ろに居た栞に、驚く琴と凪。
琴「うわぁ!」
凪「シオ!」
琴「いつから!!」
栞「凪が俺らと一緒に昔に戻りたいって言ったあたりから。」
琴「結構序盤。」
凪「話しかけてよ。」
栞「なんかエモかったから。」
琴「なにそれ。」
栞、2人の1歩前に出て、ステージを見る。
栞「いいよなーやっぱ。ステージに立つと、みんなキラキラする。みんな最強に可愛い。」
凪「うん…。」
琴「…。」
栞「俺も好きだよ、凪と琴のダンス。」
琴「…!」
凪「うわああんシオおおお!!」
凪、シオに抱きつく。
栞「なんだよ!」
凪「寂しいー。」
栞「はえーよ。まだステージ序盤だから。」
琴「なんかさ、上手い人に好きって言われると、なんかこう、胸が高まるね。」
栞「はぁ?」
凪「わかる。それめっちゃわかる。しかもシオだから。お世辞絶対言わないし。」
琴「うん。シオは上手いくせに正直者だから。嘘つけないもんね。」
凪「わかる。」
栞「え、何俺今褒められてる?貶されてる?なにどっち?」
琴「どっちでもないよ。」
凪「感心してる。」
栞「なんだそれ。…てか、こっちゃんって嫌いだったんだ、ダンス。」
琴「…実はね。…このサークルに入るまで、何度もやめようと思ったことある。ダンス。」
栞「初耳学。」
凪「じゃあなんで入ってくれたの?ここ。」
琴、ステージを見る。
琴「…好きだったんじゃないかな。」
栞、凪、琴を見る。
凪「嫌いなのに好き。」
琴「なんか、わかんないかな、わかんないよね、この気持ち。」
栞「…なんとなく、わかる気がする。」
琴「ほんと?」
栞「うん。俺も練習嫌いだからさー。…けど、ステージが楽しくて、やめられない。」
琴「…もしかしたらみんな、それぞれ嫌いなのに好きなのかもね。」
琴「知らんけどね!!」
凪「無責任!」
琴「むせきにーん!」
2年生達のナンバーが終わる。
各々、拍手を2年生に届ける。
栞「さて、いくか、そろそろ。」
琴「楽しみだね!!次のナンバーも。」
凪「間違えないようにしなきゃ。」
栞「たのしもーぜ!」
2人「「…うん!!」」
おしまい