未病・先制医療外来のススメ
先日、患者さんとお話している中で、体調が悪くなったのでネットでいろいろと調べた末に当院受診となって結果として良かった、とおっしゃってました(ありがたいことです)。何で良かったかというと、体調の改善はさることながら、これまで良くならないだろうと思っていた症状や、もはや気にすることすらなくなった「不調」がなくなったから、だそう。
何らかの不調があったことで、体全体が結果として快調になったということでした。本当なら不調になる前に来たかったんですけどね、という内容でした。
たしかに、こうしたうれしいご意見を伺うことがあるのですが、やはり不調になっていない人に、こうしたメッセージは届きにくいもの。
なんとなく不調というような人は多いにもかかわらず、具体的な方策も一般にはそれほど多くないので難しいところです。
こうした方々に訴求する用語としては「未病」がもっとも知られているものでしょうか。しかし、これでも、自分は病気ではないからなぁという方も多いかと。
とくに責任あるお仕事の方には、なかなか未病という用語も刺さらない中、最近では新たなパワーワード「先制医療」が注目されています。現状の意味合いとしては、遺伝子情報や、がん体質の診断などに特化している印象がありますが、未病も含めた病的状態を先んじて制圧する、という意味合いでは戦う企業人や経営者へのインパクトは一段上のような気がします。
統合医療という時、用いる側の手段をテーマにしたネーミングであるのですが、利用者側、特に健康という自らの財産を保守するという視点では「先制」はなかなかその本質をついているように思います。
医療はこれからますます多様性が増してくることでしょう。AIの進展に伴い、診療の状況も一変してしまいそうです。そうした中で先制医療という視点は、積極的な予防を意味するパワーワードになりそうです。
当院では、こうした内容の外来については、まず第一に血液検査等を用いて栄養状態を評価し、必要な栄養指導ならびにサプリメントを推奨してきました。ついで第二に、身体局所の瘀血の除去、具体的には首・肩・背中・腰等々の凝りや痛みに対して、刺絡治療を施す、という方針です。
この2つの方法論でかなりの方の「身体」への感じ方は変わると実感しています。その他、精神的要因にはホメオパシーの併用や、病巣感染の関与が疑われる病態には上咽頭擦過療法など、多くのバリエーションによって実際には対応しています。
まだまだ暑い日が続き、コロナ関連の不調もいろいろと出現しています。このようなな不調に対して「先制」することで積極的な健康を勝ち取る、という姿勢はますます重要性を増しているのかもしれませんね。