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第10椀 政宗の牛汁

初出:2015年4月22日

<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから

「お味噌汁復活委員会」は、味噌汁の大切さをあらためて発信していこうと、2014年夏にFacebookページにてスタートしました。世話人、お味噌汁復活ライター、一般読者が思い思いの味噌汁を投稿しています。

味噌汁の出汁・味噌・具材を、それぞれに深く楽しく考え広め、毎日の食卓に味噌汁を復活させるべく、活動の場を広げています。

私コイタは第1期からお味噌汁復活ライターをさせていただいております。ここでは私の書いた記事をまとめて紹介しています。

戦国武将と味噌シリーズその4

「政宗の牛汁」

戦国武将は味噌の重要性をよく知っていたという「戦国武将と味噌」シリーズ4回目です。

伊達政宗は、もう少し早く生まれていたら天下を獲っていたかもしれない…と言われたほどの武将ですので、もちろん味噌についてもぬかりはなかったようですね。秀吉の命で朝鮮出兵した際、伊達軍の持っていた味噌だけが夏場の暑さにも変質せずに美味しいままだったので、他の武将からの評判は高かったといいます。

関ヶ原の戦い以後、政宗は仙台城を築城し仙台藩を開きました。同時に軍糧や城中の食事用のために、「御塩噌蔵(おえんそぐら)」という日本初の大規模味噌工場を作っています。実はこの時、政宗はまだ天下を狙っていたのだ…という話もうなずける力の入れようですね。

政宗は酒食にかなり通じていて、自らも包丁を握り厨房に立っていた人のようでした。古文書によりますと、京の上方料理から関東の江戸料理、当時の西欧料理までも作られていたそうで、シチューのような煮込み料理から、鯨の石焼きステーキ、牛肉の味噌汁、鴨や鹿などのいわゆるジビエ料理なども食べていたそうです。なんと豊かなこと!

お味噌汁復活ライターといたしましては、この「牛肉の味噌汁」ってところにひっかかりましてね~。いろいろ調べてはみたのですが、残念ながら詳しいことはわかりませんでしたので、想像で作ってみることにしました。当時は肉食用に牛を育てていたとは考えられないので、牛は野生か農耕用か、きっと堅い肉だったと思います。現代でスーパーで気軽に買える「牛スジ肉」で、なんとなく当時食べていそうな西洋風のようでも韓国風のスープのようでもある、「牛スジ肉のお味噌汁」に仕立てました。

まず牛スジ肉の下ごしらえは、鍋でひと煮立ちさせてからざるにあけ、アクをきれいに洗い流し、ひと口大に切ります。大根は厚さ1cmのイチョウ切り、ショウガは千切りにしておきます。鍋に牛スジ肉、昆布水、酒、ショウガを入れたら強火にかけ、沸騰したら弱火にしてふたを少しずらし、アクをとりながら約30分程、牛スジ肉が柔らかくなるまで煮込みます。そこへダイコンを加えさらに30分程煮込み、一旦冷ましておきます。食べるときに再び火にかけ、豆腐をくずし入れ、味噌を溶き入れたら完成です。仕上げに、この時期でしたら庭の片隅に顔を出し始めたアサツキなどを散らしてみてもいい感じですね。

政宗の有名な言葉に「馳走とは旬の品をさり気なく出し、主人自ら調理して、もてなす事である」とあります。たまには政宗にならって、男の手料理でお客様をもてなすのも一興ですねぇ。

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「政宗の牛スジ味噌汁」
出汁:昆布水、酒
具材:牛スジ肉、ショウガ、ダイコン、豆腐
吸口:アサツキ
味噌:手前味噌(米麦混合麹)


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