ファインマンの経路積分
シュレーディンガーの波動力学やハイゼンベルクの行列力学とは違う別の量子の運動の様子を求める方法がアメリカの物理学者リチャード・P・ファインマンが考案した理論的な手法である経路積分です。
朝永振一郎のエッセイ『光子の裁判』では、光は波なのか粒子なのかが争われますが、被告である「光子」は二つの窓の両方からしのび込んだと主張します。「私は二つの窓の両方を一緒に通って室内に入ったのです。」
光子は粒子性と波動性の両方を持つため、二つの窓を通ったと考えられますが、例えば、窓が3つあったとしたらどうなるでしょうか?窓が3つあれば3つとも通過すると考えられます。窓はいくらあっても良いのです。窓の数をいくらでも多くできるわけです。この場合、光子はすべての窓を通過することになります。結局のところ、光子は考えられるすべての経路を通過することになります。これがファインマンが見出した経路積分の考え方です。
ファインマンの経路積分を使うと、あらゆる経路を通る状態を重ね合わせるのですが、二つの窓を通る経路からの寄与が非常に大きいといったことを示すことができます。古典力学的な考え方を量子の世界に持ちこむことができました。